2026年9月28日から10月4日までにSK進路で公開した記事から、教員の離職・定着、休職後の復職、働き方の変更、転職に関する12本をまとめます。
今週は、OECDの教員離職データ、英国の教員定着キャンペーン、日本の教員求人、学校間転職と学校・企業間の移動、国内外のリワーク・職業リハビリテーション事例を確認しました。数値の対象母集団や、制度評価と利用者事例の違いを分けて整理します。
OECD平均では正規資格教員の6.4%が離職
OECDが2026年9月29日に公表した『Education at a Glance 2026』では、データを確認できる国・地域において、2024/25年度に初等・中等教育段階の正規資格を持つ教員の平均6.4%が教職を離れていました。国・地域別ではデンマーク14.5%、ラトビア12.0%、ベルギー・フランス語圏11.6%、ブラジル10.3%、フィンランド9.1%でした。
公立の初等・中等教育で教職を辞めた人のうち、教職経験5年未満だった人は平均38%でした。この38%は「経験5年未満の教員の38%が辞めた」という離職率ではなく、退職した教員全体に占める経験5年未満の人の割合です。
30〜49歳の中学校教員で「今後5年以内に教職を離れる意向」がある人はOECD平均15%でした。日本はこの離職意向が平均より低い国の一つでしたが、中学校教員で給与に満足している割合は28.6%(OECD平均38.7%)、給与以外の雇用条件に満足している割合は37.3%(同68.4%)でした。日本の学校年度開始時または開始直後の教員欠員率は、2021/22年度の0.2%から2025/26年度の0.4%へ上昇しています。
詳しい対象範囲と各国差は、教員の6.4%が離職、若手退職者は38%-OECD-で確認できます。
英国では採用だけでなく「定着」を政策課題に
英国の労働組合Communityは2026年9月27日、教員・教育職員の定着を求めるキャンペーンを開始しました。同組合とFabian Societyの調査に基づく発表では、イングランドで2024/25年度以降、フルタイム教員の12人に1人が教員労働力から離れ、資格取得後5年以内では3人に1人が学校を離れているとしています。
同組合が求めているのは、授業の計画・準備・評価に使う時間の確保、業務量削減、問題行動への専門的支援、学校監査の頻度見直し、柔軟な働き方、金銭的インセンティブ、ウェルビーイング支援などです。これは組合と研究組織による英国の調査・政策提言であり、日本の教員離職率を示す数値ではありません。
復職判断は、生活リズムだけでなく職場の受け入れ態勢も含む
日本では、休職中の40代中学校英語教員が、校長と主治医を交えて復職プログラムの開始準備を進めた本人記録が公開されました。確認項目には、勤務時刻に合わせた起床、睡眠、日中の眠気、食欲、軽い運動、周囲との会話、気分の安定、就労意欲、通勤、約1時間の集中などが含まれていました。
厚生労働省の職場復帰支援の手引きも、就業意欲、安全な通勤、勤務時間に応じた就労、睡眠覚醒リズム、日中の眠気、注意力・集中力、作業後の疲労回復などを復職判断の例に挙げています。ただし、定型基準だけで復職可否を決めるのではなく、本人の状態と職場の受け入れ態勢を合わせた総合判断が必要とされています。今回の教員の記録で確認できるのは準備開始までであり、復職完了や復職後の定着ではありません。
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国内のリワーク事例では、復職後の環境調整や再選択も確認
ウェルビー登戸センターの利用事例では、仕事と家庭の両立で不調を後回しにして休職したBさんが、「朝やらないこと」を決め、通勤訓練を経て復職しました。復職後も毎月の定着面談が続いています。ただし、事業者が公表した一事例であり、本人の利用期間、料金、勤務時間、職種、収入は確認できません。
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株式会社リヴァの事例では、新卒1年目にうつ状態で休職した20代女性がリワークを利用し、元の会社へ復職しました。公開時点で復職から1年3か月が経過していました。部署異動後は、マニュアル、議事録、スケジュールが整った環境が本人の特性と合っていたとされています。これも事業者による利用者インタビューであり、第三者による効果検証ではありません。
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同じくリヴァの別事例では、20年間勤務し15年間マネージャーを務めた40代男性が、うつ病・適応障害による休職後、約半年のリワークを経て元の会社へ復職しました。しかし、希望していた勤務地変更と責任者から外れることは実現せず、復帰直後から再び責任者となりました。復職から約半年後に転職活動を始め、「社会貢献」「楽しく働ける環境」「全国転勤がないこと」を条件に未経験業界へ転職し、取材時点では部長職として働いていました。
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公的・制度的な就労支援では、就職以外の変化も評価対象
オランダの実装研究では、メンタルヘルス上の問題を抱える129人が、軽作業等を通じて働く基礎を整えるLDD、一般就労を目指すIPS、仕事に焦点を当てた認知行動療法と職業復帰支援を組み合わせるJITのいずれかを利用しました。結果を確認できた111人のうち62人、56%が有償の仕事またはボランティア等の無償の仕事へ進み、66%が社会参加指標で少なくとも1段階前進しました。一方、34%は変化がないか後退しており、途中離脱者も含まれます。「56%が就職した」という結果ではありません。
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英国の公的支援IPSPCの最終評価では、基準時調査1,971人、中間調査1,631人、最終調査1,288人を追跡しました。基準時には56%がメンタルヘルス上の問題を自己申告し、26%は身体とメンタル双方の問題を抱えていました。全体の就業率は基準時の28%から最終調査の39%へ11ポイント上昇し、雇用されて働く人は26%から35%へ増えました。
ただし、支援を途中でやめた人でも就業率が38%から46%へ上昇しており、評価報告書は就業増加をIPSPC参加だけの効果とは断定していません。就職だけでなく、柔軟勤務や在宅勤務を求めて現職を続けた人、別の仕事へ移った人も確認されています。
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オーストラリアでは、大うつ病により就労継続が難しくなった43歳女性が、所得補償保険を通じた社会福祉支援を利用し、プロジェクト事務職から薬局アシスタントへ移り、勤務時間を週35時間まで増やした事例が保険会社TALから公表されています。TALによれば、2025年には主なメンタルヘルス疾患を抱える501人が584件のリハビリテーションサービスへ紹介され、プログラム完了者の76%に復職、学び直し、ボランティア、求職、日常機能の改善など何らかの「改善した結果」がありました。この76%は事業者集計であり、就職率でも独立研究の結果でもありません。
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教員経験を生かす求人は、学校内外に分かれている
2026年9月28日時点で、教員免許・教職経験を生かせる求人を集約する「ティーチャーズキャリア」には、全国47都道府県の440校・法人から650件が掲載されていました。内訳は専任教諭305件、教授・准教授・助教91件、非常勤講師79件、常勤講師13件などで、勤務先区分には私立450件、国立92件、教育関連企業61件が含まれていました。
教科別では英語216件、理科189件、数学174件、国語173件、社会133件、情報112件など、地域別では東京都125件、埼玉県39件、大阪府32件、千葉県30件、愛知県29件でした。これは一つの民間求人サイトの掲載スナップショットであり、日本の教員求人市場全体を示す公的統計ではありません。
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学校を変えることと、教員を辞めることは同じではない
関東学院六浦中学校・高等学校の犬塚孝一教諭は、2024年度に東海大学付属相模高等学校・中等部から母校へ転職しました。2026年現在で教員20年目であり、前任校でも学校ICT化に携わり、現任校でも総務部ICT担当として学校全体のICT運用・管理を担当しています。前任校を否定して移った事例ではなく、教員を続けながら勤務校を変え、従来の専門性を次の学校へ移した事例です。
一関工業高等専門学校の阿部林治教授は、企業から高専教員、高専教員から企業、企業から再び高専教員へ移っています。40歳で一関高専からアルプス電気へ転職し、2021年に再び一関高専へ戻りました。音声信号処理、画像解析、AI、プログラミング、センサーデータ解析という専門軸は、勤務先をまたいで継続しています。これはメンタル不調後の復職事例ではありませんが、教員と企業の移動が一方向に限られないことを示す個別事例です。
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今週確認できたこと
今週の資料では、教員の継続・離職は、本人の意欲や適性だけでなく、業務量、雇用条件、初任期支援、職場環境、学校外の労働市場とも関係していました。休職後についても、復職できたかだけでなく、復職後の環境調整、別部署への異動、学校間転職、他業界への転職、専門性を保った再転職まで複数の経路が確認できました。
一方、利用者事例は制度全体の効果を証明するものではなく、海外の制度や離職率を日本へそのまま当てはめることもできません。個人の進路を検討するときは、体調の安全確認と医療判断、職場の受け入れ条件、本人が残したい仕事、変える必要がある条件を分けて確認する必要があります。

