教員の6.4%が離職、若手退職者は38%-OECD-

教員を続けるか、別の仕事へ移るか。その判断は個人だけの問題ではなく、各国の労働市場や勤務条件とも関係している。

OECDが2026年9月29日に公表した『Education at a Glance 2026』では、今年の特集として教員不足と教職の魅力を分析した。

利用可能なデータがあるOECD諸国・地域では、2024/25年度に小中高段階の正規資格を持つ教員の平均6.4%が教職を離れていた。国別ではデンマーク14.5%、ラトビア12.0%、ベルギー・フランス語圏11.6%、ブラジル10.3%、フィンランド9.1%と高い。OECD

退職者の38%が教職経験5年未満

今回の報告で特に目立つのが、若手教員の離職だ。

公立の初等・中等教育で教職を辞めた人のうち、**教職経験5年未満の教員が平均38%**を占めた。

国・地域による差は大きく、イスラエル77%、オーストリア69%、ベルギー・フランス語圏66%、ルクセンブルク64%、チリ46%となった。一方、韓国は8%、デンマーク15%、スウェーデン21%だった。OECD

あわせて読みたい
教員向けキャリア伴走サービス SK進路 進路設計プロジェクト SK進路CAREER DESIGN メンタル不調を経験した教員のための進路設計プロジェクト 3か月 / 面談 全6回 3 MONTHS CAREER DESIGN FOR TEACHERS WHO NEED TO REDESIGN THEIR...

ただし、この38%は「経験5年未満の教員の38%が辞めた」という意味ではない。退職した教員全体のうち、経験5年未満だった人の割合である。

OECDは、こうした早期離職について、勤務条件、業務負担、初任期の支援、教職そのものの魅力などに問題がある可能性を指摘している。OECD

30~49歳でも「5年以内に辞める」が平均15%

進路上の問題は若手だけではない。

OECD諸国では、30~49歳の中学校教員のうち、今後5年以内に教職を離れる意向を持つ割合が平均15%だった。

ニュージーランドでは26%だった一方、イタリアでは3%にとどまった。OECDの分析では、一般労働市場で転職・離職が多い国ほど、教員の離職も多くなる傾向が確認されている。

教員の離職率は学校内部の勤務条件だけで決まるのではなく、学校外にどの程度の仕事の選択肢が存在するかという労働市場とも関係している。OECD

日本は「辞める意向」が比較的低い一方、勤務条件への満足度も低い

日本について見ると、少し異なる構図がある。

OECDは日本を、一般労働者の長期勤続率が平均より高く、30~49歳教員の離職意向が平均より低い国の一つとして挙げている。つまり、日本では教員が比較的長く教職にとどまる傾向がある。OECD

一方、勤務条件への満足度は高くない。

日本の中学校教員で給与に満足している割合は28.6%で、OECD平均38.7%を下回る。給与以外の雇用条件に満足している割合も37.3%で、OECD平均68.4%との差はさらに大きい。OECD

また、日本では学校年度開始時または開始直後の教員欠員率が2021/22年度の0.2%から2025/26年度には0.4%へ上昇している。

一方で、民間など別の職業を経験してから教員になった「セカンドキャリア教員」は中学校段階で0.9%にとどまり、OECD平均8.4%を大きく下回る。OECD

「続けている」と「続けたい」は同じではない

今回の国際比較からは、教員の進路を離職率だけで判断できないことも見えてくる。

離職率が低ければ、その国の教員が現在の働き方に満足しているとは限らない。反対に離職率が高い国では、教員が学校外へ移りやすい労働市場が存在している可能性もある。

これは、メンタル不調などを経験した後に教員本人が進路を考える場合にも関係する。

復職するのか。現在の学校に残るのか。異動するのか。教員として別の学校へ移るのか。勤務形態を変えるのか。教職を離れて別の仕事へ進むのか。

「辞める人が少ないから続ける」「周囲が続けているから戻る」という判断と、自分にとって現在の勤務条件が持続可能かという判断は別である。

OECDの最新データは、教員の継続・離職を個人の適性だけではなく、勤務条件、キャリア初期の支援、学校外の労働市場まで含めて考える必要があることを示している。

出典:OECD「Education at a Glance 2026」、2026年9月29日。OECD

😄
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次