【まとめ】SK進路 週次まとめ

教員向け週次まとめ

目次

教員の「続けられない」を分解する 離職・異動・復職・定着をめぐる今週の動き

今週の教員関連記事を通して共通して見えたのは、教員不足や離職を「何人辞めたか」だけで捉えると、教員本人に起きていることを十分に把握できないという点だ。

メンタル不調による休職と離職、学校間の移動、勤務時間や責任の縮小、管理職との関係、授業以外の業務、休養制度、研修や専門能力開発まで、教員が働き続けられるかどうかを左右する条件は複数ある。

精神疾患による休職7,087人、離職1,319人

文部科学省によると、2024年度に精神疾患で病気休職した公立学校の教育職員は7,087人で、全教育職員92万2,776人の0.77%だった。前年の7,119人から32人減ったものの、割合は前年と同じ0.77%である。

休職者7,087人のうち、過去1年以内にも精神疾患による休職期間があった人は1,283人、18.1%だった。2021年度の14.7%から上昇している。また、2024年度には休職者の34.8%が休職期間1年以上となっている。(SK進路)

休職とは別に、2024年度に精神疾患を理由として教職を離れた公立小・中・高校の教員は1,319人だった。小学校801人、中学校365人、高校153人で、2015年度の619人と比べ約2.1倍となる。(SK進路)

一方、文部科学省は2026年度事業で、医師、保健師、臨床心理士などを活用し、休職予防から休職中、復職支援、復職後の再発防止までを扱うとしている。(SK進路)

関連記事:精神疾患で教職を離れた公立学校教員、過去最多の1,319人
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「辞める」だけではない 学校や役割を移る教員

米国6州の2020~2025年の教員人事データでは、年間の教員離職・異動率は2021~22年度の平均20%から2024~25年度には16%へ低下した。

ただし、勤務していたポジションを離れた教員の約4割は州外へ移るか、教職そのものを離れていた一方、同じ学校や学区で別の役割へ移るケースも確認された。教職経験3年以内の教員は、経験の長い教員より少なくとも7ポイント高い割合で教室を離れていた。(SK進路)

オーストラリアの教員確保が難しい中等学校3校を対象とした研究でも、学校間移動が別の問題を生んでいた。ある学校では1年間に15人を新たに採用する必要があり、新任教員の導入やメンタリングを残った教員が担っていた。資格を持つ教員の不足によって授業の質が妨げられている学校で働く中等教員は42%で、OECD平均23%を上回った。(SK進路)

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関連記事:教員が学校を移るほど残る教員の負担が増える

管理職との関係は、離職までの過程にも関係する

スコットランドでは、定年前に教職を離れた、または勤務時間・責任を減らした教員58人への聞き取り研究が公表された。

32人は教職を完全に離れ、26人は教員を続けながら仕事を縮小していた。36人、62.1%は管理職の対応が離職や仕事縮小を加速させたと回答した。一方、管理職の支援によって離職が一時的に遅れたとした人は6人、10.3%だった。

さらに52人、89.7%が、尊重、意見を聞いてもらうこと、個別事情への配慮の少なくとも一つについて否定的な経験を報告した。(SK進路)

ただし、管理職の支援だけですべてを説明することもできない。米国の教員5,550人を分析した研究では、管理職の支援が高いほど安全感が高く、不安・ストレスや異動・退職意向が低い傾向が確認された一方、教員の44%が児童生徒から何らかの被害を受けたと回答した。被害が強くなるほど、管理職支援と定着意向との関係は弱まっていた。(SK進路)

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関連記事:管理職の支援だけでは教員離職を防げない

授業以外の仕事を「外す」という対応

フィリピン教育省は9月14、15日の2日間を公立学校教員の「Wellness Break」とし、会議、研修、校内活動、報告、提出物、オンラインでの課題など、公式業務を要求することを禁止した。

休養日を設定するだけではなく、休養を妨げる仕事そのものを学校側が出さない制度である。ただし、この2日間によって離職率やメンタル不調が改善したという結果はまだ公表されていない。(SK進路)

インド・パンジャブ州では、教員団体が配給カード確認業務を拒否し、州政府がその業務を他部門へ移す方針を示した。同州では選挙人名簿関連業務だけでも2万8,000人を超える教員が配置され、今後の国勢調査では約6万人の教員が36日間業務を担当する予定とされている。(SK進路)

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定着には給与だけでなく、裁量・支援・キャリア経路も関係する

EU23か国のTALIS 2024データを使った欧州委員会の分析では、教員の約40%が50歳以上で、30歳未満は8%だった。

管理職の支援、意思決定への参加、授業上の裁量、導入研修やメンタリングなどは教員のウェルビーイングと正の関連を持つ一方、行政事務、学級規律、生徒行動への対応などによるストレスは離職意向と関係していた。(SK進路)

米国では、AFT所属のK-12教員2,112人を対象とした8月の調査で31%が「今後1年以内に教職を離れる可能性がある」と回答し、40%超が副業をしていた。ただし31%は実際の離職率ではなく、本人が回答した離職可能性である。(SK進路)

さらに米国では、教員養成・研修を支えるTQPとSEEDへの6億ドル超の助成金削減について、9月17日に連邦地裁が教育省の方針を違法として無効とした。ただし、判決によって削減された資金が直ちに回復するわけではない。(SK進路)

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今週の教員記事から見えること

今週の記事を並べると、「教員を続ける/辞める」の間には、異動、学校変更、勤務縮小、役割変更、休養、業務削減、研修、専門能力開発など複数の条件が存在する。

メンタル不調後の進路についても、復職だけを出口とせず、復職・継続・異動・退職・転職を同じテーブルで比較する必要がある。その判断材料となるのは、本人の意思だけではなく、現在の職場で何が負荷となり、どの条件が変われば働き続けられるのかという事実の整理である。

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子育て向け週次まとめ

親が支えることと、本人が選ぶこと 自立・進路・NEET支援をめぐる今週の動き

今週の子育て関連記事では、大きく二つの動きが重なった。

一つは、親の関わり方と子どもの自律性・進路選択を調べた研究。もう一つは、学校や仕事から離れた若者を、就労・訓練・社会参加へつなぐ各国の制度である。

共通するのは、本人にすべて任せることでも、周囲がすべて決めることでもなく、本人が選択できる条件をどうつくるかという問題だ。

親の支援は「関わるか、任せるか」の二択ではない

オランダの研究では、親子の日々の関わりと青年の自律性を日単位で調べた。結果は、親から自律を支える関わりを受けた日の翌日に、本人の「自分で選んでいる」という感覚が高まる関係を示した。これは親の関与そのものを減らせばよいという結果ではなく、関わり方の質を見る研究である。(SK進路)

ベルギーの研究でも、高校卒業から高等教育へ移る時期の親の自律支援と、本人のアイデンティティ形成との関連が扱われた。進路を親が決めるのではなく、本人が価値観や方向を形成する過程を支えるという視点である。(SK進路)

関連記事:親の支援が翌日の「自分で選ぶ感覚」に影響
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「支援」と「干渉」は同じ結果にならない

中国の高校生1,592人を対象とした研究では、親の進路への関わり方を一括して扱わず、支援的な関与と干渉的な関与を区別している。親が情報や対話を通じて支えることと、本人の意思を越えて進路へ介入することでは、進路意思決定との関連が異なった。(SK進路)

別の中国の研究では、親による心理的コントロールと高校生の退屈感との関係を、高校1年生1,163人を3か月追跡して調べた。親の心理的統制を、子どもの主体性とは別の問題として捉える必要性が示されている。(SK進路)

英国の中学生を対象とした研究でも、親の手助けを一律に「多いほどよい」とは扱っていない。本人から求められていない介入や、罰による管理などは、学習努力と負の関連を示した。相関を示す研究であり、親の介入が直接学習努力を低下させると因果関係まで断定することはできない。(SK進路)

関連記事:親の「支援」と「干渉」は同じではない
関連記事:親の心理的コントロールと高校生の退屈感
関連記事:親の手助けは「多いほどよい」ではない

就職まで親が動く場合にも「本人が決める」が問題になる

中国では、親による過剰養育と若者のキャリア意思決定の困難さとの関係を扱った研究も紹介した。

一般的な過剰養育が強いほど、本人のキャリア意思決定の困難さも大きい関係が確認されている。ただし、ここでも「親が就職活動を手伝えば子どもが決められなくなる」と単純な因果関係として読むことはできない。(SK進路)

関連記事:就職まで親が動くと、本人は決めにくくなる

NEET支援は「相談」から実際の仕事・訓練へ

英国では、16~18歳の若者を対象とした「Young Futures Hubs」を42拠点へ広げる動きが発表された。学校、就労、職業訓練から外れる若者を早い段階で支援へ接続する狙いがある。(SK進路)

リバプールでは政府の「Youth Guarantee Trailblazer」を通じ、700人を超える若者が就職前支援や仕事の機会につながった。(SK進路)

別の英国施策では、NEET状態の若者向けに1.1万件の職場体験を用意し、終了後に全員へ面接機会を設ける取り組みが進められている。ウェールズでは、長期無業の18~24歳を対象に、6か月の有給仕事へ直接つなぐ制度で最初の参加者が就労を開始した。(SK進路)

関連記事:NEET化を防ぐ42拠点、16〜18歳を就労支援へ
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関連記事:長期無業の18〜24歳に「6か月の有給仕事」

支援制度そのものにつながっていない若者もいる

英国では、NEET状態の若者の約3人に1人が給付制度の外にいるという分析も紹介した。

就労支援制度を用意しても、制度に登録していない若者には、その入口自体が届かない可能性がある。NEETを「仕事を探している若者」だけとして扱うと、支援につながっていない層を見落とすことになる。(SK進路)

韓国政府も、就職を諦めた若者への支援を6.7万人へ拡大し、孤立・ひきこもり状態の若者6,000人については、回復段階から就職までをつなぐ支援を進めている。(SK進路)

関連記事:ニート若者の3人に1人が給付制度の外
関連記事:就職を諦めた若者への支援を6.7万人へ拡大

日本では「18歳の壁」が残る

日本では、18歳以降の若者支援に関する自治体調査も扱った。

47都道府県と20政令市の計67自治体を対象とし、63自治体が回答した調査では、18歳以降の若者支援に「課題や支援のギャップがある」とした自治体が71.4%だった。

ギャップが生じる場面として「高校卒業後」を挙げた自治体は84.4%、「18歳到達時」は68.9%。教育・福祉・労働の連携体制を「不十分」とした自治体は68.3%だった。(SK進路)

不登校やひきこもりを経験した若者にとって、18歳になった瞬間に課題が消えるわけではない。学校から離れた後に、福祉、就労支援、職業訓練などへどう接続するかが問題となる。

関連記事:18歳で支援が途切れる現実と、新制度の動き

今週の子育て記事から見えること

今週の研究では、「親が関わること」と「本人の自律」は必ずしも対立するものとして扱われていない。

一方、若者支援では、本人に「自分で何とかする」ことだけを求めても、学校から仕事への移行が成立しない層が存在することも確認できる。

親子関係でも若者支援でも、周囲がすべて決めることと、本人にすべて委ねることの間に、情報を渡す、試せる場をつくる、相談先へつなぐ、実際の仕事を経験する、といった段階がある。

子どもの進路を考える際にも、「親が決めるか、本人に任せるか」という二択ではなく、どこまで支え、どこから本人が選び、責任を引き受けていくのかを段階として見る必要がある。

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