親の心理的コントロールと高校生の退屈感-中国-

親が子どもの行動を細かく管理することは、学習を促すための関わりとして行われる場合がある。一方、子どもの考え方や感情まで親が強くコントロールしようとした場合、学習への意欲とは異なる結果につながる可能性を示す研究が、2026年9月号の学術誌『Youth & Society』に掲載された。

中国の高校1年生1,163人を対象とした研究である。研究チームは3か月間に2回の調査を行い、親から受ける「心理的コントロール」、退屈感、達成動機、自分自身に対する評価、教師からの自律性支援などを調べた。

研究では、親の心理的コントロールが強いことが、2回の調査時点の双方で高校生の退屈感を予測する可能性が示された。

さらに、その関係には「自分自身をどう評価しているか」と「達成したいという動機」が連続して関わっていた。親から心理的にコントロールされていると感じることと、学校生活で感じる退屈との間に、本人の自己評価や達成動機が関係しているという構造である。

ここで扱われているのは、親が生活上のルールを設けたり、学習環境を整えたりすることそのものではない。

研究の中心は「psychological control」であり、子どもの内面や心理に働きかけながら、親が望む方向へ行動を動かそうとする関わりである。

重要なのは、「親が関与すること」と「親が本人の内面まで動かそうとすること」を同じものとして扱わない点だ。

高校進学前後は、学習内容だけでなく、部活動、友人関係、進路、将来像など、本人が自分で考えて選ぶ場面が増える。

一方、親から見れば、成績や進路に対して「もっと努力してほしい」「失敗してほしくない」という期待も強くなりやすい。

その結果、

親は「本人のために言っている」と考える。
子どもは「自分で決められない」と感じる。

というズレが起きる場合がある。

今回の研究は、このズレを直接測定したものではない。ただし、親の心理的コントロール、本人の自己評価、達成動機、退屈感が関連していた点は、親子の役割分担を考える材料になる。

もう一つ注目されるのが教師の役割である。

3か月後の調査では、教師から「自分で考えたり選んだりすることを支えてもらえている」と感じる自律性支援が、自己評価と退屈感の関係を調整していた。

つまり、家庭だけでなく学校での関わり方も、思春期の子どもの学習感情と関係していた。

これは、親が何も言わず、すべて本人任せにすればよいという話ではない。

親には、情報を集める、必要な環境を整える、生活を支える、相談に乗るといった役割がある。

一方で、

何を目標にするか。
どこまで努力するか。
何を選ぶか。
結果をどう受け止めるか。

といった部分は、成長とともに本人が担う領域を増やしていく必要がある。

親が結果を求めるほど指示を増やした結果、本人の達成動機が強まるとは限らない。

「何をさせるか」だけではなく、「本人が自分で動ける余地が残っているか」を見る必要がある。

なお、この研究は中国の高校1年生を対象とした自己報告式の2時点調査であり、親の心理的コントロールが退屈を直接引き起こしたと断定する研究ではない。研究者自身も、個人、家庭、学校の複数の要因が思春期の退屈感に関係すると整理している。

それでも、「子どものために関与すること」と「本人の判断まで親が握ること」を分けて考える材料になる研究である。

出典
Shen, Y., Chen, B., Chen, H., & Chen, J.
“Parental Psychological Control and Adolescents’ Boredom: The Mediating Roles of Core Self-Evaluation and Achievement Motivation and the Moderating Role of Teacher Autonomy Support”
『Youth & Society』Volume 58, Issue 6、2026年9月号。

SAGE Journals 原著論文

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