米国で、教員が勤務先を離れた後に「どこへ行くのか」を追った新たな分析が公表された。
Education Resource Strategies(ERS)が、コネティカット、ジョージア、ネブラスカ、ペンシルベニア、テキサス、ワシントンの6州について、2020年から2025年までの教員人事データを分析した。Education Weekが2026年9月3日に報じた。
分析では、年間の教員離職・異動率は2021~22年度の平均20%から、2024~25年度には16%へ低下した。ただし、パンデミック前の水準にはまだ戻っていないとされる。
注目されるのは、「離職」の中身だ。
勤務していたポジションを離れた教員のうち、州外へ移った、または教職そのものを離れたケースが約4割を占めた。一方で、すべての人が教育現場から消えたわけではない。同じ学校や同じ学区で別の役割へ移る教員も相当数いた。
これは、教員本人の進路を考えるうえで重要な違いとなる。
「今の教室を離れる」ことと、「教員を辞める」こと、「教育分野から離れる」ことは同じではない。
例えば特別支援教育では、教員が教育現場そのものを離れるのではなく、通常教育や学校内の別の職務へ移るケースが確認されている。特別支援教育は30年以上にわたり人材確保が難しい分野であり、2024~25年度には全米の学区の3分の1超が欠員を報告していた。
早期キャリアの教員にも特徴が出ている。
教職経験3年以内の教員は、より経験のある教員より少なくとも7ポイント高い割合で教室を離れていた。また、若手教員は他学区へ移る割合が特に高く、州外または教職外へ出る割合も10%に達した。これは退職年齢層の11%に近い水準となる。
分析では、テキサス州で特に離職率が高く、その一因として、緊急免許や代替的な教員養成ルートから入職した教員の定着率が低いことも指摘されている。
今回の調査が示すのは、教員の進路を「続ける/辞める」の二択だけで捉えると、実際の動きを見落とすということだ。
同じ学校で職務を変える。
別の学校へ移る。
別の学区へ移る。
特別支援から通常教育へ移る。
教育行政や支援職へ移る。
州外へ移る。
教職そのものを離れる。
実際には複数の進路が存在する。
教員本人が「もう続けられない」と感じたときにも、確認すべきなのは教員という職業そのものが合わないのか、現在の学校や配置、役割、業務条件が合わないのかという違いである。
ERSの分析では、高い離職が続く学校ほど職員同士の関係や組織内に蓄積された経験も失われるとしている。特に高貧困地域の学校では、その影響が積み重なりやすい。
一方、教員本人から見れば、異動や職務変更も一つのキャリア選択となる。
「教員を辞める前に何ができるか」だけでなく、「学校を離れても教育に関わるのか」「教室を離れて別の役割を選ぶのか」まで含めて考える必要がある。
教員不足を考える際にも、採用人数だけでなく、「誰が、どこへ移ったのか」を追うことが重要となっている。
出典
Education Week「Where Do Teachers Who Leave Their Job Go? See the Charts」(2026年9月3日)
Learning Policy Institute「Teacher Turnover in the United States」(2026年3月17日)


