【EU】EU教員、40%が50歳以上 「若手を採る」だけでは足りない、働き続けられる条件とキャリア設計が政策課題に

欧州で、教員不足を単なる採用問題ではなく、働き続けられる条件やキャリアの問題として捉える動きが強まっている。

2026年9月4日付の欧州報道では、EUの初等・中等教育教員のうち30歳未満は8%にとどまる一方、50歳以上は約40%を占めると報じられた。若手の流入が少ないまま高年齢層が大きな割合を占めており、今後の退職増加も見込まれる構造となっている。

この数字の背景には、欧州委員会が2026年6月に公表した教員職に関する比較分析がある。EU23か国のTALIS 2024データをもとにした分析では、教員の約40%が50歳以上、30歳未満は8%だった。加えて、教員の定着には給与だけでなく、管理職の支援、意思決定への参加、授業上の裁量、同僚との協働、業務負担などが関係していることが示されている。

特に離職意向と関係していたのが、行政事務、学級規律、生徒行動への対応などによるストレスだった。

一方、職場で意思決定に参加できること、授業上の裁量があること、導入研修やメンタリングを受けられること、管理職から支援されていることは、教員のウェルビーイングと正の関連を持っていた。

さらに、9月1日に公表されたEU教育投資に関する分析では、対象教員の76.5%が「もう一度選ぶとしても教員を選ぶ」と回答したものの、2018年の79.2%から低下している。

給与に満足している教員は、教職を再び選ぶ可能性が約7ポイント高かった。一方、職場ストレスはその可能性を約5ポイント下げていた。20年以上の経験を持つ教員は、若手教員より「再び教員を選ぶ」と答える確率が約12ポイント低かった。

この結果から見えるのは、教員不足が「若い人をもっと採用すれば解決する」という問題ではないことだ。

入職した人が続けられるか。
長く勤務した人が途中で疲弊しないか。
中高年になった後も、同じ役割を続けるしかないのか。
教室以外の教育職へ移る道があるのか。

こうした問題が、教員の定着と直接つながっている。

欧州委員会は現在、「EU Teachers and Trainers Agenda」の策定を進めている。7月末には意見募集を開始し、教員の労働条件、キャリア開発、職業としての魅力向上を主要課題に位置付けた。新たな教育パッケージは2026年11月に公表予定となっている。

さらに欧州委員会の関連資料では、このアジェンダについて、教員を「引きつける」だけでなく「定着させる」こと、専門能力開発へのアクセスや多様なキャリアパスを含めて支援する方向が示されている。

教員本人の進路という視点から見ると、ここが重要になる。

教員を続けることと、同じ学校・同じ役割を続けることは同じではない。

現場を続ける。
管理職や専門職へ移る。
研修やメンタリングを担う。
勤務形態を変える。
別の教育分野へ移る。

こうした選択肢が見えるほど、「辞めるしかない」という状態は減らせる可能性がある。

欧州の今回の動きは、教員不足を採用人数だけではなく、「どのような条件なら働き続けられるのか」「教員経験をどう次の役割につなげられるのか」というキャリア設計の問題として扱い始めている点に特徴がある。

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出典
European Commission「Strengths and challenges of teaching profession detailed in new report」(2026年6月11日)
European Commission「What shapes teacher well-being?」(2026年6月30日更新)
European Commission「Commission launches Call for Evidence on new Education Package」(2026年7月30日)
The European Post(2026年9月4日)

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