フィリピンの教育省(DepEd)が、公立学校の教員に9月14日と15日の2日間を「Wellness Break」として確保した。
単なる休日設定ではない。教育省は会議、研修、校内活動、報告、提出物、非同期での課題など、教員に公式業務を要求すること自体を禁止した。9月8日付の通達に基づき、全国の地域事務所、学校区、学校に対して、この2日間を「真の休養」として守るよう求めた。
今回の休養期間は、2026年度から導入された3学期制の学校暦に組み込まれた制度である。
第1学期終了後となる9月14、15日を休養期間とし、次の学期へ入る前に教員が休息し、回復し、自身のウェルビーイングに時間を使えるようにする。
学校管理職には、休養期間の直前・直後へ仕事を集中させ、結果として休めなくなることがないよう、日程設定にも配慮することを求めている。
注目すべきなのは、「休んでもよい」ではなく、休めなくする業務を具体的に列挙して排除した点である。

会議を入れない。
研修を入れない。
Learning Action Cellの活動を入れない。
学校行事を入れない。
報告を求めない。
提出物を求めない。
オンラインで仕事を渡すこともしない。
教員の休養を本人の自己管理だけに任せず、学校側の仕事の出し方まで規制した形だ。
制度が必要になった背景も見逃せない。
教員団体Teachers’ Dignity Coalitionは、休養期間に会議やセミナー、研修を予定している学校や地域組織があるとの報告を受け、9月9日に教育省へ制度の徹底を求めた。
同団体は、教員が第1学期中に週末まで仕事へ充ててきたとして、カレンダー上だけでなく実際の学校運営でも休養期間を守るよう要求した。
つまり、制度として「休み」を置くだけでは、教員の負担軽減になるとは限らない。
仕事が前後へ移動する。
休暇中にも提出を求められる。
研修日として使われる。
これでは、休養日は存在しても仕事量そのものは変わらない。
今回の措置は、そこまで踏み込んでいる。
教員本人の進路という視点から見ると、これは「教員を続ける条件」を考える材料となる。
教員が疲弊したとき、選択肢を「我慢して続ける」か「退職する」かだけにすると、その間にある条件が見えなくなる。
休養が確保される。
勤務時間外の仕事が減る。
業務量が調整される。
担当や配置が変わる。
支援を受けられる。
こうした条件が変わった場合でも教員を続けられないのか、それとも現在の勤務環境だから続けられないのかでは、進路判断が異なる。
もちろん、2日の休養だけでバーンアウトや離職問題が解決するわけではない。
今回の制度の効果について、離職率やメンタル不調が実際に改善したという結果はまだ出ていない。
それでも、「教員自身が休む努力をする」のではなく、「学校が教員を働かせない時間を制度として作る」という考え方は明確だ。
教員本人が「この先どうするか」を考えるときにも、本人の適性や覚悟だけではなく、何が変われば続けられるのかを選択肢とともに確認する必要がある。
フィリピンの2日間のWellness Breakは、その「継続条件」を制度側から変えようとする動きとなっている。
出典
フィリピン教育省 2026年9月8日付通達/DepEd Order No.009, s.2026
GMA News、2026年9月9日
PhilSTAR Life、2026年9月10日

