英国で、学校にも仕事にも職業訓練にも参加していない若者を、実際の職場へつなぐ新しい取り組みが始まる。
英国雇用年金省は2026年9月8日、小売業界と共同で18〜24歳を対象とする職場体験プログラム「Opening Shift」を発表した。現時点で40社を超える小売企業が参加し、1万1,305件の職場体験枠がすでに確保されている。
さらに小売業界は、この取り組みなどを通じ、現在の議会任期が終わる2029年までにNEET状態の若者10万人を雇用につなげる目標を掲げている。
2〜4週間、実際の職場に入る
Opening Shiftの対象は、仕事を探している18〜24歳のNEET若者だ。
参加者は小売企業で2〜4週間、週16〜35時間の職場体験を行う。参加は任意で、期間中もUniversal Creditの受給を継続できる。必要な場合には交通費の支援も行われ、職場では担当者によるサポートも受けられる。
今回の制度で重要なのは、職場体験をしただけで終了しない点にある。
すべての参加者に、体験終了後の面接機会が用意される。
企業側に採用可能なポストがあればそのまま就職につなげるほか、すぐに空きがない場合には企業の人材候補リストに登録したり、見習い制度など別の機会へ接続したりする仕組みとなっている。
「経験がないから採用されない」を崩す
今回の取り組みが狙っているのは、若者が陥りやすい「仕事の経験がないため採用されず、採用されないため経験も得られない」という循環である。
英国では2026年4〜6月時点で、16〜24歳のNEETが推計98万1,000人に達している。前年同期より3万人多い水準だ。
こうした若者に求人情報を示したり、就職活動を促したりするだけでは、最初の職歴がないという壁は残る。
Opening Shiftは、その間に短期間の実際の職場を置く。
英国雇用年金省はJobcentreを通じて対象となる若者を職場体験へ紹介し、企業側が実際の仕事と職場での支援を提供する。行政の就労支援と企業の採用活動を直接つなぐ形である。
40社超が参加
参加企業にはTesco、John Lewis Partnership、Marks & Spencer、Amazon、Aldi、Asda、Boots、Currys、Morrisons、Primarkなどが含まれる。
小売業は英国の若者雇用で大きな役割を持つ。小売業とそのサプライチェーンは、英国の若者雇用のおよそ4分の1を占めている。
そのため、一部の支援事業者だけで職場体験を用意するのではなく、全国に店舗を持つ企業群を入口として使えることには規模の面で意味がある。
「支援」から「最初の職場」への間を埋める
不登校やひきこもり、長期無業を経験した若者の進路では、相談できる場所が見つかった後にも次の問題が残る。
実際の仕事へどう移るかである。
相談、就労準備、求人紹介があっても、職歴がない若者には採用という壁がある。
今回の英国の仕組みでは、その間に2〜4週間の職場体験を置き、その終了地点に面接を接続した。
ただし、対象者がUniversal Creditを利用し、Jobcentreとの接点を持っていることは重要な条件となる。支援制度そのものにつながっていないNEET若者をどう見つけるかという別の課題は残る。
それでも今回の取り組みは、「就職できるようになるまで支援する」だけではなく、本人が実際の職場へ入る機会を制度と企業側で作るものだ。
支援の先に何を置くのか。
英国ではその一つとして、職場体験→面接→就職・見習い制度などへの接続という具体的な進路が作られ始めている。
出典

