2026年10月12日〜18日にSK進路で公開した教員向け記事から、7本のニュースをまとめます。
今週は、日本の勤務実態と離職統計、長期休職前の職場環境、米国の教職員調査、豪州の教職復帰制度、スペインの勤務条件をめぐる動きを取り上げました。記事の公開日と、調査・制度・出来事の時点は区別して紹介します。
日本の勤務実態調査――60.6%が残業時間より情緒的疲労の軽減を希望
小学館と電通総研による2026年の勤務実態調査では、回答者の60.6%が、残業時間よりも情緒的な疲労を減らしてほしいと回答しました。
調査期間は5月23日〜7月5日。教育関係者2,672人が回答し、このうち2,560人が現役教員でした。校種は小学校が2,223人と多くを占めています。
1日10時間以上勤務する回答者は79.4%、休憩をほとんど取れない回答者は64.6%でした。勤務時間の自由記述から外れ値を除いた1,815件による平均勤務時間は、約11.05時間です。
全国から自発的に回答した人の調査であり、全国の教員を代表する割合ではありません。また、情緒的疲労が休職や離職を引き起こしたと検証した調査でもありません。

群馬県の業務見直し――休み時間の負担軽減を「ほぼ全校」で実施するのは35市町村中2
群馬県教育委員会が公表した資料では、35市町村の教育委員会について、学校業務の見直しに関する取組状況が示されました。
「ほぼ全ての学校で実施している」と回答した自治体は、専門人材との連携・協働が34自治体、ICT保守体制の整備が33自治体でした。
一方、校内清掃の合理化は6自治体、進路支援での専門人材との協働は3自治体、休み時間の児童生徒対応に伴う負担軽減は2自治体でした。
この2自治体、5.7%という数字は、県内の学校の実施率ではありません。また、残る33自治体で全く取り組んでいないという意味でもありません。
同時に示された2026年8月の勤務状況では、時間外在校等時間が月45時間を超えた割合は、小学校0.3%、中学校3.0%、高校8.1%、特別支援学校0.2%でした。夏季休業を含む8月の数字であり、通常の授業期間とは条件が異なります。
関連記事:教員の休み時間負担軽減、ほぼ全校実施は35市町村中2
日本の離職統計――定年以外の離職理由は転職5,080人が最多
JILPTが紹介した学校教員統計調査では、2024年度に公立小中高校を離職した教員は27,536人でした。
このうち、定年退職などを除いた離職者は15,540人。理由別では転職5,080人、家庭の事情3,569人、病気1,757人となっています。
統計上の「転職」には教育委員会への異動も含まれるため、5,080人全員が教育分野以外へ転職したわけではありません。
精神疾患による離職者は1,319人で、前回の2021年度の950人から369人増加しました。別の人事行政状況調査による2024年度の精神疾患による病気休職者は7,087人です。離職と休職は異なる統計であり、人数を単純に合算できません。
教員505人の追跡研究――長期休職前に裁量と周囲の支援への評価が低下
10月12日公開の研究は、精神的健康問題によって初めて180日以上休職した小中学校教員505人を対象に、休職前3年間の変化を分析しました。
2010〜2023年の年次ストレス調査と行政上の休職記録を照合した結果、休職が近づくにつれて心理的苦痛が増加していました。一方、仕事の量的・質的負担は、対象者全体では比較的安定していました。
悪化する傾向が見られたのは、仕事の裁量、同僚・上司からの支援、仕事への積極的な関わりでした。
同じ教員の中でも、普段より負担が高い時期には心理的苦痛が高く、裁量や支援が高い時期には苦痛が低いという関連が確認されました。ただし、職場環境への認識と心理的苦痛の時間的・因果的な方向は確定できません。
復職後の再発率や、異動・転職の効果を検証した研究でもありません。
関連記事:教員505人の追跡研究、長期休職前に低下したのは職場の支援と裁量
出典:研究論文
米国の教職員調査――成長支援の評価が低い層で離職意向41%、高い層で12%
ウォルトン・ファミリー財団、Gallup、The Mattering Instituteが10月14日に公表した調査では、公立学校の教職員1,952人の約4人に1人が、今後12か月以内に現在の職を離れる可能性が高いと回答しました。
職場による成長や将来への支援を低く評価した層では、離職意向が41%。高く評価した層では12%でした。
対象には教員だけでなく、授業補助員、代替教員、教室で児童生徒に直接関わる職員なども含まれます。
また、これは現在の職を離れる意向であり、実際の退職率でも、教育分野から離れる割合でもありません。成長支援を増やせば離職が減るという因果関係を示した数字でもありません。
出典:調査主体による公式発表
豪州の教職復帰――経験者向け登録制度と学校での再体験を用意
豪州ビクトリア州では、過去に正式な教員登録を受けていた経験者を対象に、復帰登録制度が設けられています。
SK進路の記事で紹介した登録者数は、2025年3月末27人、2026年3月末159人、6月末237人。10月の報道では296人とされました。登録者数であり、全員の再就職を確認した人数ではありません。
制度では、正式登録へ戻るための2年間に80日以上の授業経験を積むことなどが求められます。長く教職を離れていた場合には、教育関連の経験や学習についても条件があります。
州教育省には、学校環境に慣れるための最大40日間の有給配置を提供する別の支援策もあります。登録制度と復帰支援事業は、それぞれ異なる仕組みです。
スペインの勤務条件交渉――月600ユーロ増などを求めストライキ
10月14日、スペインのマドリード州で、公立学校教員による無期限ストライキが始まったと報じられました。
対象は幼児教育から高校・職業教育までの約6万5,000人です。この人数は参加対象者の規模であり、実際の参加人数ではありません。
教員団体は、給与の月600ユーロ引き上げ、授業時間の削減、学級人数の縮小、事務負担の軽減などを要求しました。600ユーロは要求額であり、決定済みの賃上げ額ではありません。
初日の参加率は、州政府が44.6%、CCOOが70%、UGTが70〜75%と発表しており、発表主体によって異なります。
関連記事:教員6万5千人が対象、給与月600ユーロ増求め無期限スト
勤務時間、業務内容、支援体制を分けて読む
今週の記事では、勤務時間、情緒的疲労、仕事の裁量、周囲の支援、復帰制度が、それぞれ異なる資料で扱われました。メンタル不調後の復職・継続・異動・退職・転職を比較する際にも、これらの条件を分けて確認するための材料になります。
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