教員の働き方改革では、ICTの導入や専門人材の配置が進んでいる。しかし、教員が日常的に担っている仕事そのものは、どこまで減っているのか。
2026年10月14日、群馬県教育委員会は、県内教職員の勤務状況に関する2026年8月分の調査結果を公表した。
今回の資料では、県内35市町村の教育委員会による働き方改革の取組状況も紹介されている。
専門人材との連携は97.1%、ICT保守体制の整備は94.3%に達した。
一方、休み時間の児童生徒対応を見直し、教員の負担を軽減する取組は5.7%、校内清掃の合理化は17.1%にとどまった。
学校を支える仕組みの整備と、教員自身の業務削減との間に差が生じている。
専門人材との連携は35市町村中34
群馬県教育委員会は、文部科学省が示す「学校・教師が担う業務の3分類」に関する取組状況を集計した。

35市町村の教育委員会が回答した結果、実施率の高い項目は次のとおりだった。
| 取組内容 | ほぼ全校で実施している自治体 |
|---|---|
| 専門人材との連携・協働 | 34自治体(97.1%) |
| ICT保守体制の整備 | 33自治体(94.3%) |
| クラウドの利活用 | 31自治体(88.6%) |
専門人材との連携には、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどとの協働が含まれる。
ICT保守体制では、GIGAスクール構想に関係するICT支援員の運用などが対象となっている。
これらは、教員が専門外の業務を一人で抱え込まないための体制づくりに関係する。
休み時間の対応見直しは2自治体
一方、実施率が低かったのは、教員が日常的に担う仕事を減らす取組だった。
| 取組内容 | ほぼ全校で実施している自治体 |
|---|---|
| 校内清掃の合理化 | 6自治体(17.1%) |
| 進路支援での専門人材との協働 | 3自治体(8.6%) |
| 休み時間対応の負担軽減 | 2自治体(5.7%) |
休み時間対応の負担軽減には、児童生徒の見守りを輪番制にするなどの方法が含まれる。
校内清掃の合理化では、清掃する範囲や回数の見直しが対象となっている。
なお、進路支援での協働とは、生徒の就職先開拓などに専門人材を活用する取組であり、教員本人の転職支援ではない。
ここで注意が必要なのは、5.7%という数字の意味だ。
これは「ほぼ全ての学校で実施している」と回答した市町村の割合である。
残る33自治体で全く取り組んでいないことを意味するわけではない。
それでも、県内の広い範囲で実施されている取組は限られている。
夏休み中も高校教員の8.1%が月45時間超
同時に公表された8月の勤務状況では、時間外在校等時間が月45時間を超えた教職員の割合は、次のようになった。
| 学校種 | 2025年8月 | 2026年8月 |
|---|---|---|
| 小学校 | 0.2% | 0.3% |
| 中学校 | 1.2% | 3.0% |
| 高等学校 | 7.6% | 8.1% |
| 特別支援学校 | 0.1% | 0.2% |
高校では月80時間を超えた教職員も1.4%から2.0%へ増加した。
県教育委員会は、高校の部活動に伴う遠征や大会への参加などが、時間外在校等時間の増加要因の一つと考えられるとしている。
8月は夏季休業を含むため、通常の授業期間より時間外在校等時間が少なくなる傾向がある。
その時期でも一定数の教職員が長時間勤務となっていることが確認された。
教員を続けるために、何が変わる必要があるのか
今回の資料で明らかになったのは、ICTや専門人材の導入が進む一方、教員自身が担う仕事の削減には差があるという点だ。
教員本人が今後の働き方を考える場合、勤務時間の長さだけでなく、どの業務が負担になっているかを分けて捉える必要がある。
例えば、授業を続けたいと考えていても、休み時間の対応や校務、部活動などの負担が重なれば、現在の勤務形態を続けることが難しい場合もある。
その場合、業務分担の見直し、担当業務の変更、異動、非常勤などへの勤務形態の変更、退職や転職は、それぞれ異なる選択肢となる。
今回の調査は、教員の離職意向や精神的健康を直接測定したものではない。
しかし、教員が仕事を続けるために必要な条件を検討する際、職場で何が改善され、何が残っているかを確認する資料となる。
群馬県教育委員会は、2026年11月に行われる教職員の多忙化解消に向けた協議会で、別途実施した業務状況等調査の結果を活用する予定としている。

出典: 群馬県教育委員会「教職員の勤務状況等調査結果【令和8年8月のまとめ】」、2026年10月公表。

