公立学校の教員が定年以外の理由で職を離れるとき、最も多い理由は何か。
病気や家庭の事情ではなく、統計上は「転職」が最多となっている。
2026年9月28日、労働政策研究・研修機構(JILPT)は、文部科学省の学校教員統計調査などを分析した記事を公表した。
2024年度に公立小中高校を離職した教員は、合計2万7,536人。このうち定年退職などを除く1万5,540人について、離職理由を整理している。
最多は転職の5,080人だった。
一方、精神疾患による離職者は1,319人となり、前回調査から369人増加した。
今回の記事は2026年9月28日に公開されたものだが、基礎となる統計は2026年7月22日に公表された2025年度学校教員統計調査の中間報告である。2026年現在の離職者数ではない。JILPT
定年以外の離職者1万5,540人、最多は転職
文部科学省の調査によると、2024年度に公立小中高校を離職した教員は次のとおりだった。

| 離職の区分・理由 | 人数 |
|---|---|
| 離職者総数 | 27,536人 |
| 定年退職など | 11,996人 |
| 定年以外の離職 | 15,540人 |
| うち転職 | 5,080人 |
| うち家庭の事情 | 3,569人 |
| うち病気 | 1,757人 |
転職5,080人の内訳は、小学校2,552人、中学校1,745人、高校783人だった。
定年以外の離職者の約32.7%を占める。
ただし、統計上の「転職」には教育委員会への異動も含まれる。
したがって、5,080人全員が教育分野以外の仕事へ移ったわけではない。
また、この調査からは、転職先の職種や転職後の収入、仕事への満足度までは分からない。
それでも、定年以外で教職を離れた人の理由として、転職が最も多いという結果が示されている。JILPT
精神疾患による離職は過去最多の1,319人
今回の統計では、精神疾患を理由に離職した教員の増加も確認された。
2024年度の人数は1,319人。前回の2021年度の950人から369人増加した。
学校種別では、小学校801人、中学校365人、高校153人となっている。
いずれも、精神疾患による離職者数を把握できる2010年度調査以降で最多だった。
小学校では2015年度の331人から801人へ、約2.4倍に増えている。
また、病気を理由とした離職者1,757人のうち、精神疾患による離職者が約75%を占めた。
病気による離職の多くが精神疾患に関係していることになる。JILPT
休職者も7,000人台で推移
JILPTは、別の統計である公立学校教職員の人事行政状況調査も取り上げた。
2024年度に精神疾患で病気休職した教育職員は7,087人だった。
前年度の7,119人からわずかに減少したものの、2年連続で7,000人を超えた。
教育委員会が把握した休職要因では、児童生徒への指導が26.5%、職場の対人関係が23.2%、事務的な業務が12.7%だった。
これらは教育委員会が把握した要因であり、休職した本人全員への直接調査ではない。
また、休職者数と離職者数は異なる統計であるため、両者を単純に合算することはできない。JILPT
勤務時間の短縮だけでは解決しない負担
JILPTは、公立学校共済組合が2026年3月にまとめたストレスチェックの分析結果も紹介している。
2024年度に1日12時間以上勤務していた教職員の割合は14.9%だった。
2016年度からは減少している。
一方、高ストレス者の割合は11.8%となっていた。
小学校教諭のストレス要因では、対処困難な児童生徒への対応、事務的な業務量、保護者対応などが上位に挙がった。
中学校教諭でも、児童生徒への対応が上位となっている。
勤務時間が短くなっても、対人関係や業務内容による負担が残る可能性がある。
ただし、この分析だけで、特定の業務が精神疾患による離職を引き起こしたと断定することはできない。JILPT
教員を続けるか、別の仕事へ移るか
今回の統計では、定年以外の離職理由として転職が最多だった。
一方、精神疾患による離職者も増えている。
この二つの数字は、教員本人が今後の仕事を考える際に異なる問題を示している。
教職を続けたいが、現在の勤務条件では難しい場合がある。
教職そのものから離れ、別の仕事を経験したい場合もある。
また、休職を経て、以前とは異なる働き方を検討する場合もある。
その際には、現在の職場で変更できる条件と、職場を離れなければ変えられない条件を分けて考える必要がある。
異動、非常勤勤務、教育委員会などへの転出、学校外の仕事への転職では、仕事内容も収入も異なる。
今回の統計は、それぞれの選択が本人にとって良かったかどうかまでは示していない。
しかし、教員の離職を一括りにせず、転職、家庭の事情、病気など、理由を分けて捉えるための資料となっている。
教員を辞める人が何人いるかだけでなく、何を理由に離れ、その後どのような仕事を選ぶのか。
教員本人の進路を考えるうえでは、離職後の働き方まで含めた情報が重要となる。

出典:JILPT『ビジネス・レーバー・トレンド』2026年10月号、2026年9月28日公開。文部科学省「2025年度学校教員統計調査(中間報告)」、2026年7月22日公表。

