教員の働き方改革では、勤務時間の削減が重要な目標となっている。しかし、教員本人が減らしてほしいと考えているのは、勤務時間だけではない。
2026年10月2日、小学館は、全国の教育関係者2,672人を対象とした勤務実態調査の結果を発表した。
このうち2,560人は現役教員である。
今回新たに設けられた質問では、回答者の60.6%が、残業時間を減らすことよりも情緒的な疲労を減らしてほしいと回答した。
長時間勤務が続くなか、勤務時間だけでは測れない負担が浮かび上がった。プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES
教員の79.4%が1日10時間以上勤務
調査は2026年5月23日から7月5日まで、全国47都道府県の教育関係者を対象に実施された。
小学館の教員向けメディア「みんなの教育技術」と電通総研による共同調査である。

回答者の校種は小学校が2,223人と最も多く、中学校215人、高校62人などとなっている。
勤務時間については、79.4%が1日10時間以上と回答した。
12時間を超える人も24.3%に達した。
平均勤務時間は約11.05時間で、2025年調査の11.17時間から大きく変わっていない。
ただし、この平均値は勤務時間の自由記述回答から外れ値を除いた1,815件をもとに算出したものである。みんなの教育技術
休憩をほとんど取れない教員が64.6%
勤務時間の長さに加え、休憩の不足も確認された。
1日に休憩をほとんど取れないと回答した人は64.6%だった。
15分未満しか取れない人まで含めると84.1%となる。
1日8時間以上勤務する回答者2,610人のうち、60分以上の休憩を取れていたのは6人、0.2%にとどまった。
自由記述では、授業の合間に宿題の確認や児童対応があり、昼休みには給食指導、放課後には会議や保護者対応が続く状況が報告された。
トイレに行く時間も確保できず、体調不良を繰り返しているという回答もあった。みんなの教育技術
持ち帰り残業49.8%、休日勤務86.4%
学校を離れた後にも仕事は続いている。
週3日以上の持ち帰り残業がある人は49.8%。
ほとんど毎日持ち帰り残業をする人は34.6%だった。
さらに、1か月のうち休日に仕事をする日がある人は86.4%に達した。
時間外勤務の理由では、86.3%が、そもそも1日の業務量が8時間以内に終わる設定ではないと回答した。
勤務時間を短くするよう求められても、担当業務が減らなければ、仕事を自宅や休日に移すことになる。
実際に、勤務時間の記録と仕事の実態が一致しないことを訴える回答も寄せられている。みんなの教育技術
60.6%が情緒的疲労の軽減を希望
今回の調査で特徴的なのは、勤務時間と精神的負担を分けて尋ねた点だ。
残業時間より情緒的疲労を減らしてほしいと回答した人は60.6%だった。
一方、将来のデジタルツールに期待することでは、65.3%が情緒的疲労の軽減より生産性向上を選んだ。
精神的な負担を減らしたいという希望と、具体的な対策として業務効率化を求める考えが併存している。
また、勤務時間以外でつらいと感じる場面を尋ねた自由記述では、保護者からの理不尽な苦情が22.9%、業務量の多さが15.7%だった。みんなの教育技術
教員を続ける理由も残っている
負担が大きい一方、教職へのやりがいも確認された。
教員を続けたいと思うほどの喜びについて尋ねたところ、回答2,203件のうち68.1%が、子どもの成長や笑顔など、子どもに関する肯定的な出来事を挙げた。
教えることへの喜びと、現在の勤務条件への負担は同時に存在している。
この違いは、教員本人が今後の働き方を判断する際にも関係する。
教える仕事そのものを続けたいのか。
現在の勤務校や担当業務を続けられるのか。
業務量や保護者対応、校務分掌などの条件が変われば、継続できるのか。
常勤以外の働き方や、学校外で教育に関わる方法も検討対象となる。
特にメンタル不調を経験した後は、勤務時間だけでなく、どの業務が精神的な負担となっていたかを分けて把握することが重要になる。
今回の調査は自発的に回答した教育関係者を対象としており、全国の教員全体を代表する結果ではない。また、精神的疲労と休職・離職の因果関係を直接検証したものでもない。
それでも、勤務時間を減らすことと、働き続けられる状態をつくることが必ずしも一致しないという問題を示している。
教員を続けるかどうかの判断には、勤務時間だけでなく、精神的な負担の内容と、変更できる勤務条件を確認する必要がある。

出典:小学館「2026年勤務実態アンケート結果」、2026年9月30日公開、10月2日発表。
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