うつ病を経験し、海外で取得した学歴・資格をそのまま生かせずにいた女性が、就労支援を利用して仕事の選択肢を調べ直し、地方への移住と新しい就職を実現した。
2026年8月28日、カナダの非営利団体Neil Squire Societyが、就労支援プログラム「Creative Employment Options」を利用したViolaの事例を公開した。
Violaはケニアからカナダへ移住した女性。2020年にうつ病と高血圧の診断を受け、2003年の出産以降は断続的な腰痛も抱えていた。
今回の事例で特徴的なのは、仕事探しを始める前に、自分に合う仕事の範囲を広げたことである。Neil Squire Society
海外での学歴・資格を、そのまま使えない
Violaはケニアで教育を受けていたが、その学歴・資格をカナダの資格として直接認めてもらうことができなかった。
そのため、過去に学んだことだけを基準に仕事を選ぶことが難しかった。
Creative Employment Optionsの利用を始めた際、最初に取り組んだのはキャリア探索だった。
担当するJob Developerは、Violaにできるだけ多くの求人情報を読むよう勧めた。
目的は、単に応募先を探すことではない。
現在どのような仕事が募集されているのか、自分の技能と合う職種は何か、これまで知らなかった仕事には何があるのかを確認するためだった。Neil Squire Society
「人と関わり、誰かの生活を豊かにしたい」
Violaが仕事を考えるうえで重視したのは、人との関わりだった。
社交的で思いやりのある性格を生かし、人と接し、その人たちの生活を豊かにする仕事がしたいと考えていた。
そこで、小売業、接客・宿泊業、子どもに関わる仕事、高齢者に関わる仕事など、複数の職種を対象に履歴書と応募書類を作成した。
特定の職種だけに絞るのではなく、自分の希望に合う複数の仕事を比較しながら準備を進めた。Neil Squire Society
面接練習と健康管理を組み合わせる
支援では、模擬面接も繰り返した。
Violaが学んだのは、STARという面接回答の方法だった。
Situation(状況)、Task(課題)、Action(行動)、Result(結果)の順番で、自分の経験を説明する手法である。
模擬面接を重ねるにつれて、Violaは自信をつけていった。
同時に、仕事を続けるための健康管理についても学んだ。
瞑想や運動を生活に取り入れ、働く際に必要な体力を維持することを意識するようになった。
就職することだけでなく、就職後も働ける状態を考えながら準備を進めていた。Neil Squire Society
友人の情報から、移住という選択肢が生まれた
転機となったのは、人とのつながりだった。
Violaは支援を通じて人脈の重要性を学び、周囲の人に仕事探しについて相談するようになった。
すると、カナダのサスカチュワン州北部に住む友人から、北部の地域では働き手を求めているという情報を得た。
その後、Flin FlonとCreightonの周辺地域に住む友人を訪ねた際、地元の小売店で面接を受ける機会が生まれた。
Violaは就労支援で学んだ面接の方法を実際に使い、採用された。
採用後、2週間以内に北部へ移住した。 Neil Squire Society
移住後、さらに2つ目の仕事も得た
新しい地域へ移ったViolaは、そこでの生活にも前向きな感想を述べている。
地域の人々が親切で、高齢者が集まる交流の場ではビンゴやカードゲームを通じて友人もできたという。
さらに、移住後には2つ目のパートタイムの仕事も得た。
ただし、2つの仕事の具体的な勤務時間、収入、雇用継続期間は公開されていない。
うつ病の症状が改善したかどうかも未確認である。
確認できるのは、就労支援の利用後に仕事を得て移住し、地域で新しい人間関係を築き、さらに別の仕事を始めたという変化までである。Neil Squire Society
利用した支援サービス
Creative Employment Optionsは、障害や健康上の困難を抱える人の就職を支援するプログラムである。
提供内容は、個別・グループでの学習、キャリア形成、健康管理、求職活動、必要に応じた支援技術の検討、就職後の継続支援など。
カナダ政府のOpportunities Fund for Persons with Disabilitiesによる資金支援を受けている。
政府の事業一覧にも、Neil Squire Societyによる全国規模の就労支援事業として掲載されている。
Viola本人の利用料金、面談回数、利用期間は未確認である。Neil Squire Society
SK進路との接点
今回の事例では、Violaは最初から特定の職業を目指していたわけではない。
「人と関わり、誰かの生活を豊かにしたい」という希望を基準に、求人を調べ、複数の職種を比較し、応募準備を進めた。
さらに、働く場所を現在の居住地域に限定せず、友人から得た情報をもとに移住という選択肢も検討した。
これは、SK進路が扱う「調査・比較・整理・試行・判断」と接点がある。
一方、今回の支援は具体的な就職活動と就労支援が中心であり、SK進路のような進路判断そのものを主商品とするサービスではない。
また、Violaに3か月以内の判断期限があったことも確認できない。
それでも、メンタル不調経験後の進路を考える際、職種だけでなく、働く地域や生活環境まで選択肢を広げた事例として注目できる。
なお、今回の記事は支援事業者が公開した利用者の成功事例であり、第三者による支援効果の検証ではない。
出典
Neil Squire Society「Viola Heads North for New Opportunities」2026年8月28日。
Creative Employment Options公式説明


