精神的な不調によって長年の入院や施設生活を経験した女性が、自分の経験を生かして人を支える仕事を選び、働きながら資格を取得した。
2026年9月7日、ニュージーランドの職業教育機関Careerforceが、Sarah Killohさんの事例を公開した。
Sarahさんは現在、障害のある人の自立生活を支援する施設でチームリーダーを務めている。
今回の事例で注目するのは、精神的な不調を経験した本人が、その経験を人の役に立つ仕事へ変え、さらに学び直しによって職業能力を高めていることである。キャリアフォース
長年、精神医療の支援を受けていた
Sarahさんは若い頃、長期間にわたり精神医療の支援を受けていた。
入院、居住型施設での生活、24時間体制の個別支援などを経験した。
本人によると、かつて40歳まで生きられないかもしれないと言われたこともあった。
その後、さまざまな仕事を経験するなかで、自分が受けてきた支援を、今度は他の人に提供する方向へ進んだ。
Sarahさんは、自分の経験を伝え、同じような困難を抱える人に希望があることを示したいと考えたという。キャリアフォース
2021年から資格取得を開始
Sarahさんが利用したのは、Careerforceによる職場実習型の職業訓練だった。
2021年、Health and Wellbeingのレベル3資格の学習を開始した。
その後、障害者支援分野のレベル4見習い訓練プログラムへ進んだ。
このプログラムは、すでに障害者支援の仕事に就いている人が、働きながら専門知識と実務能力を高める仕組みである。
Sarahさんは、単に課題を終わらせるのではなく、学んだことを実際の仕事で試しながら理解することを重視した。
支援計画、記録の作成、自己理解、振り返りなど、実務と学習を結びつけていった。キャリアフォース
学習で、自分の責任範囲を整理
Sarahさんが特に役立ったと述べたのは、自己を振り返る学習だった。
ある利用者の行動への対応に悩み、自分が結果に責任を負わなければならないと感じていた。
そこで振り返りの手法を使い、自分ができることと、自分では変えられないことを整理した。
その結果、利用者への支援と、自分自身の負担を分けて考えられるようになったという。
この変化は、チームを率いる際の考え方にも影響した。
Sarahさんは、学習によって自分の仕事への自信が増し、リーダーとしての役割を受け入れられるようになってきたと述べている。キャリアフォース
現在は自立生活支援のチームリーダー
Sarahさんは現在、Paulownia Trustが運営する新しい自立生活支援サービスでチームリーダーを務める。
仕事には、勤務表の管理、家族や関係機関との連絡、地域との関係づくり、入居希望者の準備支援などが含まれる。
利用者が自分で生活できるよう、金銭管理、料理、地域での活動なども支援する。
本人は、自分自身が支援を必要としていた経験によって、利用者の立場を理解しやすくなったと語る。
また、精神医療を受けていた経験を必要に応じて伝えることで、周囲の人の認識が変わることもあるという。
2026年9月の公開時点で、Sarahさんはレベル4の見習い訓練を修了している。キャリアフォース
次は、さらに上位の学習も検討
資格取得後も、Sarahさんの学習意欲は続いている。
今後の選択肢として、レベル5の学習、マオリ語の習得、Careerforceの職場評価者になることなどを挙げている。
ただし、これらは本人が検討している段階であり、進学や新しい職務への就任が決まったわけではない。
現在の仕事では、自立生活支援サービスをさらに成長させることを目指している。キャリアフォース
利用料金と期間
Careerforceの障害者支援レベル4見習い訓練は、標準期間22か月、133単位のプログラムである。
受講料は2,250ニュージーランドドル(税込)。
通常は雇用主が受講料を負担し、条件によって費用支援制度も利用できる。
ただし、Sarahさん本人の実際の受講期間、自己負担額、利用した助成制度は未確認である。
また、このプログラムは就職前のキャリア相談ではなく、すでに働いている人を対象にした職業能力開発である。キャリアフォース
SK進路との接点
今回の事例では、Sarahさんは精神的な不調を経験した後、自分の経験を生かして他の人を支援する方向へ進んだ。
その後、実際の仕事と学習を組み合わせ、自分の能力や役割を広げている。
これは、SK進路が扱う「本人の希望を明確にし、必要な材料を調査・整理・試行して、次の方向を判断する」という過程と接点がある。
ただし、SarahさんがCareerforceを利用した時点では、すでに障害者支援の仕事に就いていた。
そのため、Careerforceの訓練によって最初の職業選択が決まったとはいえない。また、SK進路Lv.3に該当する3か月以内の判断期限も確認できない。
今回確認できたのは、不調経験を生かす仕事を選び、就職後も学び続けることで、自分が望む役割へ近づいた事例である。
なお、これは職業教育機関が掲載した受講者の事例であり、第三者による支援効果の検証ではない。
出典
Careerforce「From surviving to supporting others: Sarah’s Careerforce apprenticeship journey」2026年9月7日。


