メンタルヘルス上の困難を抱える人の就労を支援する英国のプログラムで、利用者の女性が以前から希望していたスキンケア事業を立ち上げた事例が公開された。
2026年2月16日、北アイルランドの支援団体Action Mental Healthが、SkillSETプログラムを利用したMariaの事例を紹介した。
Mariaは、就職だけでなく、自分の事業を持つことを目標に支援を利用した。資格取得、起業準備講座、個別支援を経て、スキンケア事業「Ethereal Bliss」を立ち上げている。アクションメンタルヘルス
一人親として、スキンケア事業の起業を希望
MariaがAction Mental HealthのFoyle事業所を利用し始めたのは2025年1月だった。
Mariaは一人親として子育てをしながら、スキンケア事業を立ち上げたいという希望を持っていた。
利用したSkillSETは、障害や健康上の困難によって就労機会が制限されている人を対象に、職業訓練や就職準備を支援するプログラムである。
特にAction Mental Healthが担当する支援では、精神的な不調、不安、ストレスなどを抱え、現在就労していない人が対象となる。
ただし、Maria本人の具体的な診断名や、それ以前の職歴、離職理由は公開されていない。アクションメンタルヘルス
やりたいことを実現するため、個別計画を作成
Mariaは最初に、担当者と個別の訓練計画を作成した。
計画では、スキンケア事業を立ち上げるという希望を実現するために、必要な知識や技能を整理した。
その後、就労準備に関する認定・非認定の研修を受講した。
具体的には、顧客対応に関するOCNレベル2資格を取得。さらに6週間のキャリア準備講座と、8週間の起業基礎講座「Biz Basics」を修了した。
研修では、顧客や雇用主が求める対応、職業上の基準、仕事に必要な技能などを学んだ。
各段階にはメンタルヘルスに関する学習も組み込まれ、本人の健康状態に配慮しながら起業準備を進める仕組みとなっていた。アクションメンタルヘルス
7月6日、スキンケア事業を立ち上げ
Mariaは7月6日、北アイルランドのデリーで開催されたAction Mental Healthの起業イベントに参加し、スキンケア事業「Ethereal Bliss」を立ち上げた。
同じイベントでは、Mariaを含む6人の利用者が起業への取り組みを開始した。
記事では7月6日と記されているが、開催年は明記されていない。2025年1月の利用開始から2026年2月の事例公開までの出来事として紹介されている。アクションメンタルヘルス
起業後も支援を受け、次の事業講座へ
起業後もMariaへの支援は続いた。
担当者Allisonの支援を受け、事業を成長させるための追加プログラムへ応募した。
Mariaは、アイルランドのTU Dublinなどが関係する障害のある人向け自営業講座に選ばれた。
応募者40人のうち、採用されたのは20人だった。
この講座は1人当たり1,250ユーロ相当の支援を受けられるもので、受講料が全額負担されるほか、事業計画作成用ソフトウェアやビジネスメンターによる支援が提供される。
Mariaは起業後も、事業計画を具体化し、経営に必要な知識を学ぶ段階へ進んだ。アクションメンタルヘルス
本人が語った変化
MariaはSkillSETについて、職業能力やキャリアの可能性を高める機会になったと述べている。
特に、資格、実務に関係する経験、自信、起業を進めるための支援を得られたことを評価している。
これは利用者本人の感想であり、事業の収益性や長期的な継続を証明するものではない。
公開情報から確認できるのは、事業の立ち上げと、その後の起業支援講座への採用までである。
事業の売上、利益、顧客数、2026年10月時点の営業状況は未確認となる。アクションメンタルヘルス
支援サービスの仕組み
SkillSETは2023年に開始された、英国政府のUK Shared Prosperity Fundによる資金を活用した事業である。
北アイルランドの7つの障害者支援団体などが協力し、職業訓練、就職準備、職場での支援などを提供している。
Maria本人のSkillSET利用料金と正確な総利用期間は未確認である。起業後に採用された講座については、受講料が全額支援されることが確認できる。Action Mental Health
SK進路との接点
今回の事例では、本人が最初から「スキンケア事業を立ち上げたい」という希望を持っていた。
支援の中心となったのは、希望そのものを探すことではなく、その希望を実現するための条件や必要な技能を整理し、実際の行動につなげることだった。
個別計画の作成、資格取得、起業準備、事業開始、起業後の追加学習という過程は、SK進路が扱う「調査・比較・整理・試行・判断」と接点がある。
一方、Mariaは当初から進みたい方向が明確だったため、選択肢を決められない「進路迷子」とは必ずしも一致しない。
また、3か月以内に進路を判断する必要があったかどうかも未確認である。
この事例が示しているのは、メンタル不調経験者への支援が、元の仕事への復帰や再就職だけでなく、本人が以前からやりたかったことを事業として実現する過程にも使われているという事実である。
出典
Action Mental Health「I’ve gained support to progress towards my entrepreneurial dream: Maria’s story」2026年2月16日公開。


