英国で、ニート状態の若者を含む16〜24歳の就労・訓練への接続が改めて問題になっている。
焦点となっているのは、イングランドで2025年8月に導入された「Foundation Apprenticeships(基礎見習い制度)」だ。若者が賃金を受け取りながら、最低8か月の職業訓練を受ける仕組みである。
英国政府は、この制度によって現議会期中に最大3万人の開始を見込んでいた。ところが、2025年8月から2026年4月までの開始者は160人にとどまった。英国議会資料でも、政府が当初最大3万人の開始を想定していたことが確認できる。国会質問文書

この数字が注目される背景には、英国のニート問題がある。
英国では、教育・雇用・職業訓練のいずれにも参加していない16〜24歳の若者をNEETとして集計している。2026年4〜6月には98万1,000人で、同年代の13.0%に当たる。100万人を下回ったものの、依然として非常に大きな規模である。Reuters
重要なのは、単に「仕事がない若者」が約100万人いるという意味ではない点だ。
英国のNEETには、仕事を探している失業者だけでなく、仕事をしておらず積極的な求職活動もしていない「経済的非活動」の若者も含まれる。2026年1〜3月のNEET約101万2,000人のうち、61万3,000人が経済的非活動だった。国立統計局
つまり、求人を増やせば全員がそのまま就職へ移る構造ではない。
Foundation Apprenticeshipsは、こうした学校から仕事への移行部分に置かれた制度の一つである。通常の就職だけではなく、賃金を得ながら職場経験とLevel 2相当の訓練を組み合わせ、若者が次の職業へ進む入口をつくる。
しかし、制度が存在していても、実際に利用されなければ「学校・無業状態から次へ進む道」にはならない。
最新の報道では、英国全体の見習い制度開始者は2025年8月から2026年4月までに30万8,770人と前年同期比8.7%増加している。一方、19歳未満は6万3,530人で5.4%減少した。若者向けLevel 2の開始数も長期的に大きく減少している。ラーニングニュース
さらに、見習い制度を始めた人のうち、直前までNEETだった人は4%だったと報告されている。ラーニングニュース
ここに、ニート状態から次の進路へ移る難しさが表れている。
英国政府はFoundation Apprenticeshipsだけでなく、若者への支援を拡大している。Youth Guaranteeには2026/27年度から2028/29年度まで8億2,000万ポンドを投入し、若者向け見習い制度を3年間で5万人増やす方針だ。Youth Hubも全国へ拡大し、2029年3月までに360か所超とする計画である。House of Commons Library
また、長期に仕事や教育から離れている18〜21歳には、6か月間の有給雇用を提供するJobs Guaranteeも進められている。国会質問文書
つまり英国では、ニート状態からの出口を「すぐ通常就職する」という一本の道ではなく、相談、職業訓練、見習い、有給就労など複数の中間段階によってつなごうとしている。
一方で、今回の160人という数字は、制度を作ることと、実際に若者がそこへ接続できることが別問題であることも示している。
学校や仕事から離れた後に必要なのは、制度の存在だけではない。その人が現在どの位置にいて、学び直すのか、訓練を受けるのか、働くのか、まず社会との接点をつくるのかを選べることが重要となる。
ニート状態の「後」にどのような進路を置くのか。英国では、そのための選択肢を増やす政策と、実際にそこへ若者を接続する難しさが同時に見えている。
出典
英国議会「NEET: Young People Not in Education, Employment or Training」
英国議会 Foundation Apprenticeshipsに関する政府答弁
Learning News/CIPD 2026年9月24日報道
Reuters 2026年8月27日報道

