英国リバプールで9月23日、教育・雇用・職業訓練のいずれにも参加していない18〜21歳の若者を対象に、進学、職業訓練、就職を一つの場で比較できる「Your Next Steps」が開かれた。
単なる就職説明会ではない。対象をNEET状態の18〜21歳に限定し、「学校を離れた後、この先どこへ進むか」を個別に考える入口をつくる取り組みである。
運営するリバプール市のYouth Guarantee Trailblazerでは、就職前支援、職業訓練、就職支援だけでなく、創作活動を使った参加支援、就職後の定着支援、SEND(特別な教育的ニーズ・障害)に対応した専用プログラム、デジタル・金銭面の支援、ケア経験者へのメンタリング、交通費や必要機材への支援まで用意している。

9月23日の会場には、現在採用枠を持つ企業のほか、若者支援、メンタリング、クリエイティブ分野、SEND支援など複数の組織が参加した。企業の中には、若者に6か月間の有給就労機会を提供するところもある。本人だけでなく、親や養育者も参加できる仕組みとした。
特徴的なのは、午前11時から正午まで「Quiet Hour」を設けたことだ。大人数や混雑が苦手な若者は、通常の会場より静かな環境で支援者や企業と話せる。正午から午後2時は通常のイベントとし、同じ支援への入口そのものを複数用意した。
背景には、英国政府が進めるYouth Guaranteeがある。
政府は、イングランドの18〜21歳が教育、訓練、就職支援、アプレンティスシップのいずれかへアクセスできる体制を目指している。リバプール都市圏を含む8地域を先行地域とし、学校や仕事から離れる危険の高い若者を見つけ、地域の教育・訓練・雇用機会へ接続する方法を試している。
リバプール都市圏には約500万ポンドが投入され、2026年3月時点で50を超えるプロジェクトが進行していた。対象には、メンタルヘルス、神経多様性、ケア経験、不安定な住居など、仕事へ移る際に複数の障壁を抱える若者も含まれている。
そして今回のイベントまでに、リバプール市のYouth Trailblazerでは18〜21歳の若者700人超が就職前支援や就業機会への接続を受けている。
この取り組みで重要なのは、「就職させる」ことだけを出口にしていない点である。
教育へ戻る、職業訓練へ進む、アプレンティスシップを選ぶ、働く。その前段階としてメンタリングや創作活動から社会との接点を取り戻す選択肢もある。さらに就職後の定着まで支援対象に入る。
不登校や中退の問題は、在学中には「学校へ戻れるか」が中心になりやすい。しかし18歳を過ぎれば、問題は「学校に戻るか」だけではなくなる。
学校を離れた後に、教育、訓練、就労、社会参加のどこへ進むのか。
リバプールの取り組みは、支援の終了地点ではなく、その先の「次の進路」を複数の選択肢から考える仕組みを地域側につくっている事例である。
出典
Liverpool City Council「Join Youth Trailblazer」
Liverpool Express 2026年9月14日
Liverpool City Region Combined Authority
英国議会 House of Commons Library「Youth Guarantee」
英国政府「Get Britain Working White Paper」

