英国で、教育・雇用・職業訓練のいずれにも参加していないNEETのうち、約30万人が給付を受けず、政府の主要な就労支援制度との接点を持っていないことが明らかになった。
英国の財政研究所(IFS)が2026年9月3日に公表した調査によると、2025年末時点で英国の18〜24歳のNEETは約87万人。このうち約32万人が失業関連給付を受けておらず、ほぼ30万人は他の給付も受けていない。政府が本人の状況を把握する接点がなく、「hidden NEETs(隠れたNEET)」と呼ばれている。Institute for Fiscal Studies

ここでいうNEETは、教育・雇用・職業訓練に参加していない若者を指す。日本の「ひきこもり」と同義ではなく、社会的に孤立していることも条件ではない。
今回の調査が示したのは、この「隠れニート」が一つのタイプではないことだ。
22〜23歳の隠れニートを見ると、74%は仕事を探しており、4%はボランティアなどの無給活動をしている。さらに少なくとも4%は大学を終えた直後、旅行後、仕事と仕事の間など一時的な移行期にある。合わせると82%が、求職、ボランティア、移行期のいずれかに該当する。Institute for Fiscal Studies
学歴も低いとは限らない。54%が大学卒業相当で、給付を受けているNEETの12%を大きく上回る。57%はNEETになってから6か月未満であり、比較的短期間で次の進路へ移る可能性のある人も多い。Institute for Fiscal Studies
一方で、長期間この状態にとどまる人もいる。
隠れニートの24%は1年以上、19%は18か月以上仕事から離れている。ところが英国の若者向け就労支援の一部は、給付を受けている期間を利用条件としているため、長期間NEET状態であっても、給付を申請していなければ対象にならない場合がある。Institute for Fiscal Studies
例えばJobs Guaranteeは18か月、Youth Jobs Grantは6か月という期間条件がある。隠れニートのうち、それぞれ19%、43%が期間だけを見れば条件を満たすが、給付を受けていないため対象外となる。IFSは、給付受給の有無にかかわらず若者が就労支援を利用できるようにすることには検討の余地があるとしている。Institute for Fiscal Studies
では、給付を受けずにどう生活しているのか。
22〜23歳の隠れニートの80%は親と同居している。家庭の所得構成を見ると、37%が所得上位3分の1の家庭出身で、30%が下位3分の1だった。給付を受けるNEETでは下位3分の1が72%を占めており、両者には大きな違いがある。Institute for Fiscal Studies
つまり、「ニートだから同じ支援が必要」と単純には言えない。
短期間の移行期にあり自力で仕事へ進む人もいれば、家族に生活を支えられながら長期間仕事から離れ、既存制度にもつながっていない人もいる。
この調査から見える進路上の問題は、支援の必要性と「制度につながっているか」が一致していないことだ。
学校を卒業した後、仕事を辞めた後、あるいは長期間家族と暮らしながら次の方向を探している時、給付を申請しなければ就労支援への入口そのものがない場合がある。
IFSは、隠れニート全員を追跡して支援することには費用に対する効果が限られるとも指摘している。多くは政府の介入がなくても仕事へ移る可能性が高いためだ。Institute for Fiscal Studies
重要になるのは、約30万人を一括して支援対象にすることではない。
その中から、短い移行期間にいる人と、長期間次の進路を決められず制度からも離れている人をどう見分け、必要な人が就職、職業訓練、学び直しなどの選択肢へ接続できるようにするかという問題である。
出典: 英国財政研究所(IFS)「Off the radar: who are NEETs not claiming benefits?」

