韓国で、社会との接点が減り、長く家や限られた人間関係の中で過ごしている若者を対象に、12週間かけて生活リズムと社会参加を取り戻す「 함께-오피스(ともにオフィス)」が始まった。
2026年9月に募集され、対象は19〜39歳の「쉬었음(休んでいる状態)」の若者である。人との関係や社会活動が減っている人、オンライン・オフラインを問わず居場所がないと感じている人、他者とつながりながら転換の時間を持ちたい人を対象とし、特に「고립·은둔 청년(孤立・隠遁青年)」が優先される。活動期間は2026年9月28日から12月20日までで、10月1日にオフィス出勤とオリエンテーションを行う日程が組まれた。

韓国で使われる「고립·은둔 청년」は、日本の行政上の「ひきこもり」と完全に同じ定義ではない。人間関係や社会活動が大きく減り、家庭や限られた空間にとどまりやすい若者を広く含む概念である。そのため、本記事では日本語の「ひきこもり」と同一視せず、近い社会的孤立状態として扱う。
このプログラムの特徴は、最初から就職を求めない点にある。
参加者は12週間、平日にオンラインで「出勤」する。さらに週1回のオンライン会議を行い、日常生活や活動状況を確認する。10月にはオンラインと対面を組み合わせた進路探索ワークショップも行われる。希望者30人は、自分の関心や状況に応じて「自分の道を考えるプロジェクト」「地域や社会と関わる活動」「仲間とのクラブ活動」などから一つを選び、自主的に取り組む。
ここでいう「出勤」は、一般企業で仕事をすることとは違う。
決められた業務をこなし、成果を評価されるのではなく、まず一定の時間に社会との接点を持つこと自体が目的となる。生活のリズムを整える、人と連絡を取る、自分でその日の活動を決める、何かを継続してみる。こうした行動を積み重ねたうえで、次の進路を考える構造である。
韓国では、この考え方に近い「NEET Company」も展開されている。2026年8月にはソウル西大門区で、孤立・隠遁やNEET状態の19〜39歳33人を対象にした「ニートカンパニー西大門店」が始まった。参加者は週5日オンラインまたは対面で出退勤を記録し、週1回は実際の施設に集まる。仕事の内容は自己管理、進路探索、自己開発、社会活動などから本人が決める。就職や業績を直接求めず、社会へ戻る前の「緩衝地帯」をつくることが目的とされている。
ここで見えるのは、「家から出る→就職する」という一本の進路ではない。
長く社会から離れていた人にとっては、起きる時間を整える、人と話す、定期的に参加する、自分で活動を決める、自分の関心を確認するという段階がある。その後に、就職、職業訓練、学び直し、地域活動などを比較する。
日本では、ひきこもりやニート状態からの支援を「就職できたか」で捉えがちだが、韓国の取り組みは、その前にある中間段階そのものを支援対象にしている。
重要なのは、本人を早く次の場所へ移すことではなく、本人が次にどこへ進むかを考えられる状態をつくることである。
「この先どうするか」を考えるための準備期間もまた、進路の一部である。
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