英国で、学校から仕事へ移る若者の新たな進路として導入された「Foundation Apprenticeships(基礎アプレンティスシップ)」が、開始から8か月で160件の利用にとどまったことが明らかになった。
英Guardianが2026年9月21日に報じた。政府は現議会期中に最大3万人の利用を見込んでいるが、制度開始後の実績との間には大きな差が生じている。
Foundation Apprenticeshipsは、大学進学などの学術ルートとは異なる、若者向けの「働きながら学ぶ」入口である。
対象は原則16〜21歳。教育・保健・ケア計画を持つ若者やケア経験者など一定条件に該当する場合は24歳まで利用できる。レベル2の職業訓練で、最低8か月間、雇用されながら仕事に必要な技能と就業能力を身につける。建設、デジタル、製造・エンジニアリング、保健・社会福祉、飲食・接客、小売などが対象となっている。修了後は、より専門的な上位のアプレンティスシップへ進むことも想定されている。

問題は、この「次の選択肢」が実際には十分な規模で若者へ届いていないことだ。
英国では16〜24歳の約100万人が、教育・雇用・職業訓練のいずれにも参加していないNEET状態にある。政府の独立レビューは、英国の若者をめぐる問題について、一時的な失業だけでなく、労働市場そのものから若者が離れていることを問題視している。
特に職業訓練への入口は縮小している。
同レビューによると、イングランドの16〜24歳によるアプレンティスシップ開始数は、制度改革前と比べ35%減少。若者向けレベル2では68%減少した。さらに、アプレンティスシップ参加者のうち、直前までNEETだった若者は4%にすぎない。
つまり、制度そのものは存在していても、学校や仕事からすでに離れている若者ほど、その入口へ到達しにくい構造がある。
進路情報の不足もある。2025年に対面のキャリア相談を受けた若者は32%で、アプレンティスシップについて相談した若者は18%だった。就職に必要な実務経験があると自信を持つ若者も35%にとどまる。
さらに「入ること」だけで問題は終わらない。
以前NEET状態だったアプレンティスのうち、修了後も同じ組織で雇用されていた割合は49%。NEET経験のない参加者では68%だった。政府レビューは、職業訓練はNEET状態から抜け出す経路になり得る一方、追加支援がなければその経路を維持しにくいと分析している。
英国政府は2026年9月、Foundation Apprenticeshipsを教育から仕事への移行を支える制度として改めて位置づけ、企業や訓練機関向けの導入支援も強化している。
今回の160件という数字が示すのは、制度がない問題だけではない。
不登校、中退、長期離脱、NEET状態の後に「この先どうするか」を考えるとき、職業訓練という選択肢を制度として用意するだけでは足りない。本人がその選択肢を知り、自分に合うかを判断し、実際に入り、さらにその先の就労までつながれるかが問われる。
学校の外に進路を用意することと、その進路まで本人をつなぐことは別の問題である。
出典:
The Guardian 2026年9月21日報道
英国政府 Growth and Skills Levy資料
英国政府 Young people and work interim report
英国議会 Foundation Apprenticeshipsに関する回答

