PTSD(心的外傷後ストレス障害)を経験したオーストラリアの女性が、自身の困難から支援サービスを立ち上げ、さらに専門教育を受けて活動を発展させた。
2026年10月5日、豪州の職業教育機関TAFE Queenslandが、Katrina(Kat)Kinn氏の事例を公開した。
Kat氏は、無料のオンライン交流会を運営し、過去2年間で800回を超える開催実績を積んだ。その後、専門課程を修了し、現在はコーチングやメンタリングの新しいプログラムを開発している。
空港警備、舞台制作、牧場勤務を経てPTSDに
Kat氏の職歴は多様だった。
シドニー空港では連邦法執行機関の職員として働き、その後、世界的な舞台集団シルク・ドゥ・ソレイユの公演にも携わった。
しかし、コロナ禍でエンターテインメント業界が停止。地方の牧場で働くことになった。
そこでトラウマとなる出来事を経験し、2021年にPTSDと診断された。

当時暮らしていた農村地域では、心理士や支援機関までの距離が遠く、必要な支援を受けにくかった。
孤立した生活の中で、自分以外にも同じ困難を抱えている人がいるはずだと考えた。
そこから生まれたのが、PTSD Peer Supportという活動だった。
自分が必要だった支援を自らつくった
PTSD Peer Supportは、PTSDや複雑性PTSDを経験する人がオンラインで集まる無料のピアサポートサービスである。
参加者は日々の交流会で経験を共有し、生活上の工夫や回復に向けた取り組みについて話し合う。
活動はオーストラリア国内だけでなく、海外の参加者にも広がった。
TAFE Queenslandによると、過去2年間のオンライン交流会は800回を超えた。
ただし、参加者の延べ人数、継続率、健康状態への効果について第三者による検証は確認できない。
活動を始めた後、専門教育を選んだ
Kat氏はサービスを運営する中で、経験だけでなく、専門的な知識と技術を身につけたいと考えた。
選んだのは、TAFE Queenslandの「Certificate IV in Mental Health Peer Work」という職業資格課程だった。
自宅近くでオンライン学習する選択肢もあったが、本人は対面授業を希望した。
孤立を減らし、同じような経験を持つ人たちと交流するためである。
そのため、ニューサウスウェールズ州北部の農村地域から、ゴールドコーストのサウスポートへ移った。
学んだのは、経験を安全に支援へ生かす方法
課程では、トラウマに配慮した支援、喪失や悲嘆、動機づけ面接、ピアサポートの原則などを学んだ。
さらに、専門職としての境界線、同意の取り方、感情の調整、自分の実践を振り返る方法も扱った。
自身の経験を話すことが、いつ、どのように他者の助けになるのかを考える学習だった。
Kat氏は、修了時には自己理解や自信が深まり、セルフケアにも良い変化があったと述べている。
これは本人の自己評価であり、健康状態の改善を客観的に測定した結果ではない。
利用期間と料金
TAFE Queenslandの公式案内では、同資格課程の2027年1月開始予定コースは1年間。サウスポート校では週2日の対面授業などに加え、80時間の実習を含む。
掲載料金は豪ドルで、一般料金7,815ドル、政府補助対象3,255ドル、割引対象2,265ドル。
これらは2027年開講予定の料金であり、Kat氏が実際に支払った金額ではない。
本人の受講開始日、実際の受講料、転居費用は未確認である。
修了後、支援活動をさらに発展
Kat氏は課程修了後、学んだ知識をPTSD Peer Supportの運営に取り入れた。
医療関係者との対話や、支援機関との連携にも以前より自信を持てるようになったという。
現在はPTSD経験者向けのコーチング・メンタリングプログラムを開発し、関連団体への助言活動も進めている。
ただし、新プログラムの提供開始、利用料金、売上、収益性は未確認である。
また、800回を超える交流会の実績は、専門課程の修了後だけで達成したものではない。支援活動は受講以前から始まっていた。
SK進路との接点
今回の特徴は、元の仕事に戻ることを目標にしていない点にある。
Kat氏は、自分が経験した困難から、他者を支えたいという方向を見つけた。
まず活動を始め、実際の経験から不足する知識を認識し、専門教育を選び、その後の事業に生かした。
この順序は、SK進路が扱う「希望の明確化、試行、比較、判断」と接点を持つ。
一方、今回の職業教育はキャリアコーチングではない。また、本人に3か月以内の進路判断期限があったかも未確認である。
やりたいことを最初から職業名で決めるのではなく、小さな活動から始め、その経験をもとに学び直しや仕事の方向を選ぶ。
今回確認できたのは、その具体的な過程である。
なお、これは教育機関が掲載した修了生の事例であり、第三者による教育効果の検証ではない。


