韓国で、社会的に孤立・ひきこもり状態にある若者への支援が拡大する一方、支援終了後の再孤立や、年齢によって支援機関が変わる問題が指摘されている。
2026年10月9日、韓国の聯合ニュースは、政府の支援制度と専門家の評価をまとめた調査記事を公開した。
韓国では、2024年8月から「青年未来センター」を設置し、孤立・ひきこもり状態にある若者への相談、生活支援、社会参加、仕事体験などを進めてきた。
同記事によると、2026年9月までに全国17の広域自治体でセンターの設置が完了した。
しかし、支援機関につながった後、本人が何を選び、支援終了後も社会との関係を続けられるかという課題が残っている。聯合ニュース
19歳から支援を担当する省庁が変わる
韓国では、孤立・ひきこもり状態にある若者への支援が年齢によって分かれている。
9〜18歳を重点対象とする青少年向けの支援は、性平等家族部が担当する。
一方、19歳以上の若者への支援は、保健福祉部が中心となる。
青少年向けの制度では、学校外青少年支援センターなどが、家庭訪問、相談、体験活動、学習支援、進路探索を実施する。
さらに、支援終了後も再孤立を防ぐための継続的なケース管理や、自立支援事業への接続を制度に組み込んでいる。
ただし、19歳になると担当する行政機関や支援制度が変わるため、それまで築いた支援者との関係をどう引き継ぐかが問題になる。
韓国青少年政策研究院の研究者は、本人との信頼関係を築くこと自体が難しいにもかかわらず、年齢で支援を区切ることに疑問を示している。韓国政府公式サイト
仕事体験まで用意する青年未来センター
青年未来センターでは、本人の状況に応じて複数の支援を組み合わせる。
韓国保健福祉部が公表した事業内容には、個別相談、オンライン相談、共同生活による生活習慣の回復、社会的な交流活動、家族関係の支援などがある。
就労に向けては、短期間の仕事体験や、雇用労働部が担当する若者向け事業への接続も含まれる。
2026年3月16日、保健福祉部は全羅北道の青年未来センターを訪問した際、共同生活施設、交流プログラム、模擬的な会社活動などを通じて社会復帰を支援していると説明した。
生活を整えることと、実際の仕事を試すことを、異なる段階として扱っている。
また、2026年3月26日には、家族の介護を担う若者や孤立・ひきこもり状態にある若者を支援する法律が施行された。
政府は支援を全国へ広げる方針を進めている。보건복지부
半年から1年の支援だけで十分なのか
10月9日の報道で専門家が問題にしたのは、短期間の支援が終わった後の生活だ。
ソウル研究院の研究者は、孤立の原因が解消されないまま半年から1年程度の支援を終えれば、再び孤立する可能性があると指摘した。
これは再孤立した人の割合を示す調査結果ではなく、制度設計上の懸念だ。
また、外出が難しい人にとって、支援センターへ自分から出向く方式には限界がある。
オンライン相談や訪問支援が用意されていても、本人の状況に応じて十分に利用できるかが問われる。
仕事体験に参加した後も、就職するのか、学び直すのか、別の活動を続けるのかによって必要な支援は異なる。
一度の体験だけで、その後の生活が決まるわけではない。
就職以外の社会参加も評価すべきか
韓国の専門家からは、孤立・ひきこもり状態にある若者を、単に既存の制度へ戻す対象として扱うことへの批判も出ている。
韓国放送通信大学の研究者は、2024年の青年未来センター試行事業を評価した報告書で、支援対象としての位置づけだけでなく、社会の中で主体的に活動する権利を重視すべきだと提言した。
本人がどのような活動を望むのか。
仕事以外の社会参加を続けたい場合、どの制度がそれを支えるのか。
支援の成果を就職者数だけで判断すると、こうした選択肢が見えにくくなる。
韓国青少年政策研究院も2026年、孤立・ひきこもり状態にある青少年への支援事業について、2025年の運営実績や当事者・家族の経験を検討した研究報告書をまとめている。韓国青少年政策研究院
支援が終わった後、この先どうするか
今回の韓国の報道が示すのは、支援を受けられる場所が増えることと、本人の将来の選択肢が確保されることは同じではないという問題だ。
19歳を迎えた際の支援機関の引き継ぎ、仕事体験の後の学習・就労支援、支援終了後の継続的な関係づくりが必要になる。
一方、2026年10月時点で、全国展開後の青年未来センターについて、支援終了者の再孤立率や長期的な就業継続率を確認できる資料は見つかっていない。
社会との接点を取り戻した後、何を続け、どこへ進むか。
韓国では、支援の全国展開に続いて、その後の生活と本人の選択をどう支えるかが問われている。
出典
- 聯合ニュース「孤立の長期化④」(2026年10月9日)
- 韓国保健福祉部・青年未来センター現地視察(2026年3月16日)
- 韓国性平等家族部・孤立青少年支援制度
- 韓国青少年政策研究院・2026年研究報告書

