ひきこもり若者の社会復帰に「オンラインゲーム」を活用 -イタリア-

ひきこもり状態にある若者が、家から出る前に社会との接点を取り戻す。その手段として、オンラインゲームを活用する取り組みがヨーロッパで進んでいる。

イタリアを中心とする5か国の共同事業「RECONNECT」では、ひきこもり状態にある若者と教員が参加できるオンラインゲーム型の支援プラットフォームを開発する。

事業期間は2025年10月1日から2027年9月30日までの24か月。

2026年1月29日、フィレンツェ市の若者向け情報サイトが事業の開始を紹介した。

今回は10月16日の新規発表ではなく、現在進行中の欧州共同事業を取り上げる。CO&SO

ひきこもり状態でも参加できる場所をつくる

RECONNECTの特徴は、ひきこもり状態にある若者を、最初から学校や地域の施設へ呼び戻そうとしない点にある。

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オンラインゲームを通じて、教員や同年代の若者との接点をつくる。

開発予定のプラットフォームでは、ゲームの仕組みと教育活動を組み合わせ、参加意欲や他者との関係づくりを支援する。

学校への復帰だけでなく、社会との関係を段階的に回復することも目的となっている。

ただし、オンラインゲームの利用によって実際に何人が社会参加を再開したかという成果は、現時点で確認できない。

イタリアなど5か国が参加

事業を主導するのは、イタリア・フィレンツェの社会事業連合Co&Soである。

参加国は次の5か国。

  • イタリア
  • アイルランド
  • ルーマニア
  • オーストリア
  • スペイン

参加団体には、Hikikomori Italia、アイルランドのSpectrum Research Centre、オーストリアのE.N.T.E.R.などが含まれる。

EUの教育支援制度Erasmus+を利用し、各国で応用できる支援方法を開発する。

ひきこもりを日本だけの問題として扱わず、ヨーロッパ共通の教育・社会参加の課題として取り組んでいる点も特徴だ。Reconnect Project

開発する4つの支援方法

RECONNECTでは、オンラインゲーム以外にも複数の支援方法を開発する。

① 教員向けの研修

ひきこもりや社会的孤立の兆候を理解し、適切に対応するための5つの学習モジュールを用意する。

② 同年代の若者による支援

同級生などが、孤立している若者との関係を維持できるようにする。

専門家だけに支援を任せず、同年代の人間関係も活用する仕組みだ。

③ オンラインゲーム型の支援

ゲームを通じた交流や学習活動によって、社会との接点をつくる。

④ Community Voice Station

当事者の経験や支援情報を共有する欧州共通のプラットフォームを開発する。

教材や指針を提供する機能、体験を共有するブログ、対話を促すポッドキャストなどを組み合わせる計画だ。CO&SO

5か国85人以上の専門職が調査に参加

2026年4月、Hikikomori Italiaは、RECONNECTの一環として実施した欧州調査を紹介した。

調査では、イタリア、ルーマニア、オーストリア、スペイン、アイルランドの5か国で、6つのフォーカスグループを実施。

教員、学校心理職、教育関係者など85人以上が参加した。

調査では、ひきこもりを単なる反抗や本人の選択としてではなく、学校での圧力、人間関係の困難、不安などが重なった結果として捉える見方が示された。

ただし、これは専門職への質的調査であり、ひきこもり状態にある若者全体の人数や割合を示す統計ではない。Hikikomori Italia

すでにゲームを活用した支援も

フィレンツェでは、RECONNECTとは別に、社会的協同組合Il Girasoleによる「Edugamer」という取り組みが進められてきた。

専門的な研修を受けた教育支援者が、デジタルゲームを利用して若者の交流や協力を促す。

活動場所として「EduGaming Zone」と呼ばれる空間も設けられている。

RECONNECTは、こうした地域での経験も背景に持つ事業だ。

ただし、EdugamerとRECONNECTのゲームプラットフォームは同一のものではない。PortaleGiovani

家から出る前に、次の選択肢を考える

ひきこもり状態から社会参加へ移る過程では、外出や通学を再開する前にも段階がある。

オンラインで他者と交流する。誰かと共同作業をする。自分の関心を確かめる。学習活動に参加する。

こうした経験は、学校や仕事に戻る前の中間段階になり得る。

一方、RECONNECTは主に学校年代の若者を対象とした事業であり、成人の長期ひきこもりや、学校を離れた後の就労支援まで直接扱う制度ではない。

また、ゲームでの交流が進学や就職へどの程度結びつくかも、今後の検証課題となる。

社会との接点を取り戻すことと、その後の進学・就労・社会参加を本人が選ぶことは別の段階である。

RECONNECTは、その最初の段階にオンラインゲームという新しい入口を設けようとしている。

出典

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