ひきこもり若者に企業での仕事体験、職場側も変える -イタリア-

ひきこもり状態にある若者が、企業の中で仕事を体験する。その際、本人だけに職場への適応を求めず、受け入れる企業側も環境を調整する。

イタリア北部トリノで、こうした試行事業が実施された。

2026年5月22日、トリノ産業連盟(Unione Industriali Torino)は、社会的ひきこもりと仕事をテーマとする会合を開催し、地元企業が参加した試行事業を紹介した。

今回取り上げるのは10月の新規発表ではなく、2026年5月に公表された企業参加型の実践事例である。

特徴は、ひきこもり状態から仕事へ移る際、本人を訓練するだけでなく、職場側の受け入れ方も変えている点だ。

企業がひきこもり状態の若者を受け入れる

事業を実施したのは、トリノ産業連盟の多様性・公平性・包摂(DE&I)に関する部会である。

協力したのは、ひきこもり状態にある人の家族を支援する団体「Hikikomori Italia Genitori ETS」だ。

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産業連盟の加盟企業が直接参加し、社会的ひきこもり状態にある若者に仕事を経験する機会を提供した。

2026年5月22日の会合では、試行事業の事例としてOverlab、Whiteready、Eldeco Elettronicaの3社とトリノ産業連盟がプログラムに掲載された。

企業が若者を受け入れた経験と、支援団体の知見を持ち寄る構成だった。

ただし、参加した若者の人数、年齢の内訳、体験期間、職種、雇用契約の有無などは、公開された事業紹介からは確認できない。

本人だけでなく、職場の環境も調整する

産業連盟は、今回の試行について、若者の状況を理解し、適切に調整された職場環境が社会との再接続に役立つ可能性を示したと説明している。

また、本人だけでなく、受け入れる企業にも利益があると評価した。

一般的な就職支援では、応募書類の作成、面接練習、職業技能の習得など、求職者側の準備が中心となりやすい。

今回の取り組みは、それに加えて企業側が受け入れ環境を考えるものだ。

ただし、具体的に勤務時間、業務内容、人間関係、指導方法などのどの部分を変更したのかは、公表資料には示されていない。

そのため、特定の配慮方法が有効だったと断定することはできない。

仕事を持つ成人にも社会的孤立が起きる

会合では、若者だけでなく、働いている成人の社会的孤立も問題として取り上げられた。

トリノ産業連盟は、社会的ひきこもりが青年期だけの問題ではなく、仕事を続けながら職場や周囲の人間関係から徐々に離れていく成人にも関係すると指摘している。

ここで注意が必要なのは、仕事を持つ人の社会的孤立と、長期間自宅に閉じこもるひきこもり状態は同じではないという点だ。

また、ひきこもり状態にある人が必ずしも無業であるとは限らない。

今回の会合は、若者の仕事体験と、成人の職場における孤立という二つの問題を扱っていた。

地域には家庭訪問から就労準備までの支援もある

トリノでは、今回の企業参加型事業とは別に、社会的ひきこもり状態にある若者を支援する取り組みが続けられてきた。

その一つが、社会支援団体Gruppo Abeleの「Nove e ¾」である。

2020年6月に始まった事業で、主に15〜25歳の若者を対象に、家庭への訪問、活動場所での交流、学校や仕事への再接続などを支援する。

2023年4月の地域報道では、当時、13人が活動施設に通い、22人が家庭訪問型の支援を受け、21人が復学または就労に向けた計画に参加していたと紹介された。

これは2023年時点の別事業の数字であり、今回の企業参加型試行事業の成果ではない。

また、21人が全員就職・復学したという意味でもない。

それでも、家庭から出ることが難しい段階、活動施設に参加する段階、学校や仕事を試す段階という、異なる状況に対応する支援が地域に存在することが分かる。

仕事体験の後に何を選ぶか

企業での仕事体験には、就職以外の意味もある。

実際の職場で自分が何をできるのか、どのような環境なら働けるのか、どの仕事に関心を持てるのかを確かめる機会になる。

体験後に就職を希望する人もいれば、別の仕事を探す人、学び直しを選ぶ人、社会参加の段階をもう少し重ねたい人もいる。

ただし、今回の試行事業について、体験後の進路や職場定着率を示す公開データは確認できない。

仕事体験から雇用へ移った人数や、その後の継続状況は、今後確認すべき点となる。

ひきこもり状態から仕事へ移るために、本人だけが変わる必要はない。受け入れる職場も変わることができる。

トリノの試行事業は、若者が実際の仕事を試し、その経験を踏まえて次の選択肢を考えるための一つの方法を示している。

出典

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