シンガポールで、中途人材が雇用と学習を同時に始め、社会福祉士を目指す仕組みが動いている。National Council of Social Service(NCSS)が2026年8月14日に更新した案内によると、「社会福祉士キャリア転換プログラム」は、参加者が提携先の雇用主に採用されたうえで、シンガポール社会科学大学(SUSS)の課程を履修する「就職先行型」の制度だ。2026年募集分は公式日程上、8月に授業を開始する計画となっている。
制度の対象は、原則としてシンガポール国民または永住者で、21歳以上、フルタイムの就業経験が2年以上ある人だ。過去または現在の職務と、転換後の仕事が大きく異なり、再教育が必要であることも条件になる。似た職務経験がある場合でも、2年を超える就業空白があれば申請対象になり得る。単に資格を取りたい人ではなく、別の職業領域へ移る中途人材を明確に想定した設計である。
学歴に応じて二つの課程がある。非大卒者などを対象とする社会福祉学士課程は24カ月、社会福祉以外の学士号を持つ人向けの大学院ディプロマ課程は18カ月だ。いずれもシンガポール社会福祉士協会の認定課程で、教室での学習に加え、実習と職場内訓練を組み合わせる。2026年募集資料では、学士課程は平日夜に週3~4回、大学院ディプロマ課程は土曜日に授業を行い、両課程とも400時間の実習と週4日の勤務を予定している。

特徴は、学び始める前に提携先から採用内定を得る必要がある点だ。SUSSの審査を通過しただけでは制度の対象にならず、参加企業・団体の選考を経て雇用契約を結ばなければならない。研修中は雇用主の職員として月給が支払われるが、金額は業務内容や過去の経験を踏まえて個別に決まる。資格取得後の初任給は月約3,850シンガポールドルが参考値として示されているものの、保証額ではない。
受講料にも公的・雇用主側の支援が入る。2025年10月時点の募集資料では、40歳以上のシンガポール国民が負担する割合は両課程とも受講料の5%で、学士課程は1,855.30シンガポールドル、大学院ディプロマ課程は1,095シンガポールドル(いずれもGST別)とされる。残額は雇用主が負担し、NCSS加盟の社会福祉団体ではNCSSが必要額を補う。ただし、受講料の基準時点は古いため、次回応募時には最新額の確認が必要だ。
支援には条件もある。修了後は、スポンサーとなった雇用主のもとで、大学院ディプロマ課程なら18カ月、学士課程なら24カ月の最低勤務期間を果たす。途中辞退や期間中の退職・契約終了では、行政機関や雇用主が負担した費用などを基に損害賠償を求められる場合がある。働きながら資格を得られる一方、学習時間、勤務先との適合、修了後の拘束期間まで含めた判断が必要になる。
この制度が示すのは、「学んでから仕事を探す」以外の転換経路だ。長く担った仕事や家庭上の役割が変わった人にとって、収入を完全に止めず、現場を確かめながら新しい専門職へ移れる点は現実的な選択肢になる。ただし、2026年募集の応募期間はすでに終了しており、公式資料だけでは参加人数、修了率、就職定着率は確認できない。関心がある人は、次回募集時期、提携先、費用、勤務条件を公式ページで確認する必要がある。
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