ニート若者に「住まい+仕事訓練」の次の道 -オーストリア-

ニート状態にある若者への支援というと、就職相談や職業訓練を思い浮かべやすい。

オーストリアでは、その前段階にある「生活そのもの」まで含めて支える仕組みが動いている。

オーストリア・シュタイアーマルク州カプフェンベルクの「HALTEGRIFF」は、学校を終えた後、教育・就労・職業訓練のいずれにも参加しておらず、家庭で暮らし続けることも難しい若者を対象に、住まいと仕事の訓練を一体で提供する支援である。

欧州青年ポータルでは、HALTEGRIFFを支える新たな欧州連帯隊の活動が2026年10月1日から始まっており、2027年9月30日まで実施予定となっている。そこでは、NEET状態にある16〜21歳の若者に対し、住居支援と仕事訓練を組み合わせる仕組みが紹介されている。

就職の前に「暮らせる状態」をつくる

HALTEGRIFFの特徴は、就職先を探すことだけを支援していない点にある。

あわせて読みたい
やりたいことをみつける、大人進路ステーション 大人進路STATION もうひとつのキャリプランとは WHAT WE DO 「何か変えたい。変化させたい」 そんな時、一度立ち止まって方向性を考えてみる。 個の時代、心の時代 「自...

公式資料では、対象はおおむね15〜21歳で、義務教育を終え、訓練先や就職先がなく、さまざまな事情から家庭で暮らし続けることが難しい若者となっている。

支援は大きく「仕事訓練」と「生活訓練」に分かれる。

仕事訓練では、職業オリエンテーション、基礎学力や社会人基礎力の訓練、木工・金属・事務・ITなどの実践訓練、企業での実習、就職・訓練先探しなどを行う。

一方、生活訓練では、共同生活や段階的な一人暮らしを通じて、家事、生活管理、余暇の過ごし方、危機への対応など、自立生活に必要な力を身につける。

住居と仕事を別々に扱わない

日本で「ニート支援」と言うと、就職相談、職業訓練、求人紹介など、仕事側から支援が始まることが多い。

HALTEGRIFFは逆に、仕事へ進むためには生活の安定も必要だという構造になっている。

欧州青年ポータルによると、施設では最大16人を支援でき、仕事訓練のチームと生活支援のチームが別々に配置されている。教育、社会福祉、心理分野の専門職が関わり、住居と職業準備を並行して進める。

つまり、支援の順番は「すぐ就職」ではない。

まず生活を整える。

次に仕事を試す。

その上で、職業訓練、実習、就職、さらに教育への再接続を考える。

この中間段階が制度として用意されている。

本人が「次を決める」ことも支援の中にある

HALTEGRIFFの公式サイトでは、若者に対して「自分の未来を自分で形づくりたいか」という問いを掲げている。

公式資料でも、職業的・私生活上の自立を目標とし、本人が自分の将来を主体的に形成することを重視している。

ここは、単なる就職支援との違いである。

ニート状態にある若者に対し、最初から就職という一つの出口を決めるのではなく、

生活を整える
仕事を試す
得意不得意を知る
職業を選ぶ
訓練や実習へ進む
自立生活へ移る

という段階を踏ませている。

ニート状態の「その後」に中間地点をつくる

長く学校や仕事から離れていた人にとって、家から直接就職へ移ることは大きな変化になる。

HALTEGRIFFが示しているのは、その間に「暮らしながら試す場所」を置く方法である。

仕事だけを変えるのではなく、生活、対人関係、日課、技能、働く経験をまとめて整え、その後の進学・訓練・就労へつなぐ。

ニート支援で問題になるのは、支援を受けた後にどこへ進むかである。

オーストリアのこの仕組みでは、家と就職の間に、住まいながら次を考え、試せる中間段階が置かれている。

出典:European Youth Portal「Youth home and work training HALTEGRIFF」、HALTEGRIFF公式サイト、BBRZ Österreich。

😄
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次