ニートという言葉で一括りにされる若者は、実際には同じ状態ではない。
イタリア労働・社会政策省は2026年9月8日、若年無業者を分析した調査「Neet in Italia: mappe, profili e storie di transizione」を紹介した。
調査では、15〜34歳の非就業・非就学・非訓練状態にある若者1,500人以上を分析し、ニート状態を6つのタイプに整理している。労働省公式サイト
ニート率は低下しても、問題は消えていない
イタリアでは15〜29歳のNEET割合が、2019年の22.3%から2025年には13.3%まで低下した。
数字だけを見ると大きく改善している。

しかし今回の調査が注目したのは、「何人いるか」よりも、なぜ仕事や学びにつながらない状態が続くのかという点である。
回答者の60%超は、すでに何らかの就労経験を持っていた。高校卒業資格や大学の学位を持つ若者も多い。
つまり、ニート状態にある若者の多くが、学校も仕事も一度も経験していないわけではない。
むしろ、一度社会に出た後、短期雇用や不安定な仕事を繰り返し、安定した次の道につながらなくなっているケースが含まれている。労働省公式サイト
ニートを6タイプに分ける
調査では、若者を主に6つに分類している。
初めて労働市場へ入ろうとしているが仕事に就けない「新規参入型」、不安定な仕事を繰り返す「断続型」、能力や資格に合う仕事が見つからない「ミスマッチ型」、働く意思はあるが積極的な求職活動をしていない「停止型」、支援機関から把握されにくい「不可視型」、家族のケアや個人的事情によって動けない「制約型」である。労働省公式サイト
同じ「ニート」であっても、必要な次の選択肢は大きく異なる。
仕事を探すことが必要な人もいれば、職業訓練が必要な人、能力と仕事の組み合わせを見直す必要がある人、自営業や起業を選択できる人もいる。
86.8%は「今の状態を変えたい」
調査では、86.8%が現在の状態を変えたいと答えている。
多数が働くことにも前向きだった。
これは、ニート状態が必ずしも「働きたくない」という意思を意味しないことを示している。
むしろ、自分に合う仕事や持続可能な働き方が見つからず、動けないままになっているケースがある。労働省公式サイト
就職だけではなく、自営業という道も用意
イタリアでは、若者向け施策として雇用促進だけでなく、自営業や起業を支える制度も動いている。
18〜34歳の非就業者、失業者、雇用が不安定な若者を対象とする「Piano integrato Autoimpiego」では、起業や専門職、自営業を始めるための初期研修、助成、事業開始後の伴走支援を提供している。
この制度には5億7,600万ユーロが充てられている。労働省公式サイト
さらに、国の若者・女性・雇用プログラムでは、NEET支援を「発見」「接触」「行動」の3段階で捉え、個別の行動計画をつくる方向で取り組みが進められている。
「ニートから就職」だけでは説明できない
今回の調査で重要なのは、ニート状態を一つの問題として扱っていない点である。
同じ無業状態でも、
「初めて働くのか」
「一度働いた後に止まったのか」
「資格と仕事が合っていないのか」
「家庭事情で動けないのか」
「支援機関から見えていないのか」
によって、次に必要な行動は変わる。
長く学校や仕事から離れた人に必要なのは、単に「就職すること」ではなく、自分が今どの状態にいて、次に何を選ぶのかを整理することでもある。
イタリアでは、ニートを一括りにせず、その違いに応じて就職、訓練、自営業など複数の出口を用意しようとしている。
出典:イタリア労働・社会政策省「Giovani inattivi, sei profili per capire il fenomeno」(2026年9月8日) 労働省公式サイト

