子どもの夢は変わっていい 50人の回答に見る進路選択-アメリカ-

米Yahoo Lifeが2026年9月10日、5歳から14歳までの子ども50人に「将来何になりたいか」を尋ねた記事を公開した。

回答には、消防士、医師、教師、宇宙飛行士、エンジニア、俳優、歌手、プロスポーツ選手、作家、インテリアデザイナー、野生動物保護など幅広い職業が並んだ。一方、TikTokerになりたいと答えた子どもは一人もいなかった。

ただし、この50人は統計的な代表サンプルではない。今回の記事から「アルファ世代はインフルエンサーを目指さなくなった」と結論づけることはできない。

むしろ注目すべきなのは、子どもたちが一つの職業に早い段階から固定されていなかった点である。

50人のうち37人、約4分の3が「以前とは違う将来像を考えたことがある」と答えた。さらに12人は、将来やりたいことを一つに絞らず、複数の可能性を挙げた。宇宙飛行士と船長、野球選手と消防士、作家と宇宙エンジニアなど、現在の自分の興味に応じて複数の進路を同時に持っている。

7歳の子どもは「まだ7歳だから、何でもできる。だからよく変わる」と話した。別の11歳の子どもは、短期間のうちに宇宙飛行士と船長からエンジニアへ希望を変えている。

これは、子どもの進路を考える上で重要な材料となる。

親から見れば、「将来何になりたいのか」「どの学校へ行くのか」「何を習わせるのか」を早く決めたくなる場面はある。しかし、子ども側では、経験が増えるたびに選択肢そのものが変わっていく。

今回の50人にも、家族の影響は強く表れていた。父親と同じ消防士を目指す子、医療関係の家族から影響を受けて医学を志す子、父親と同じイラストレーターを考える子がいる。

家族が進路形成に影響すること自体は不自然ではない。問題になるのは、親が示した選択肢が、そのまま本人の決定になるのか、それとも本人が材料として受け取り、考え直し、選び直せるのかという違いである。

今回の記事では、YouTube、インフルエンサー、ストリーミングを現在の夢として明確に挙げたのは50人中3人だった。しかし、米国の10代にとってSNSそのものは依然として日常的な存在である。

Pew Research Centerが2025年9〜10月に13〜17歳1,458人を対象に行った調査では、TikTok、Instagram、Snapchatはいずれも多くの10代が利用しており、TikTok利用者では娯楽目的が特に強かった。つまり、「SNSを日常的に使うこと」と「SNS上の活動を将来の職業として選ぶこと」は同じではない。

さらに元記事では、子どもたちが仕事を選ぶ理由も紹介されている。「人を助けたい」「動物を守りたい」「楽しいから」「世界中を旅したい」「お金」と理由は一つではない。

進路は職業名だけで形成されるものではない。何をしたいのか、何が得意なのか、何を大切にしたいのか、どのような経験をしたのかによって、候補は動いていく。

子育てに置き換えると、親の役割は「正しい答えを早く選ぶこと」だけではない。

選択肢を見せる。経験できる機会をつくる。本人の話を聞く。一度選んだものを変える余地を残す。そして年齢や経験に応じて、選ぶ責任そのものを本人へ渡していく。

今回の50人の回答が示しているのは、子どもの将来像が揺れていることではない。経験しながら、自分の選択肢を書き換えているという姿である。

「何になりたいか」を早く確定させることより、「なぜそう思うのか」「今は何に興味があるのか」「次に何を試したいのか」を親子で考えることの方が、進路形成の段階では重要になる。

出典
Yahoo Life, “We asked 50 kids about their dream jobs. Not one said TikToker.” 2026年9月10日。
Pew Research Center, “Teens’ Experiences on TikTok, Instagram and Snapchat,” 2026年4月15日。

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