親の心理的統制と中高生1277人の動画利用 -中国-

親が子どもの行動を管理することと、子どもの考えや感情まで動かそうとすることは同じではない。

中国の中高生1,277人を対象に、親による「心理的統制」とショート動画の問題的利用との関係を調べた研究が、2026年9月28日、学術誌『Psychology Research and Behavior Management』に公開された。研究チームは安徽中医薬大学、安徽医科大学などに所属している。Dove Press

研究でいう「心理的統制」とは、単に利用時間を決めたり、家庭内のルールを設けたりする行動管理とは異なる。愛情を引き上げる、罪悪感を抱かせる、親の権威を使って従わせるといった方法によって、子どもの考え、感情、自己表現や意思決定へ介入する関わりを指している。Dove Press

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中高生1,277人を調査

調査対象は中国中部・北西部の中高生で、女子628人、男子649人、平均年齢は14.0歳だった。全員が過去12か月以内にショート動画を利用していた。

研究では、親の心理的統制、心理的な消耗、将来に対する否定的な見方、ショート動画の問題的利用について質問し、それぞれの関連を分析した。

その結果、親の心理的統制が高いほど、ショート動画の問題的利用も高いという関連が確認された。

さらに、親の心理的統制は「心理的な消耗」と「将来を否定的に見る傾向」の双方と関連していた。研究モデルでは、心理的統制からショート動画の問題的利用への総効果のうち、心理的な消耗を経由する経路が35.08%、将来への否定的な見方を経由する経路が12.62%、両者を順番に経由する経路が12.92%を占めた。最終モデルは問題的ショート動画利用の分散の23%を説明した。Dove Press

「管理」と「心理的統制」は分けて考える必要がある

この研究で重要なのは、親が子どもに何も言わない方がよいという結論ではない点だ。

研究論文でも、利用時間を決めたり行動をモニタリングしたりする「行動的統制」と、子どもの内面へ介入する「心理的統制」を区別している。

ショート動画には年齢に応じた安全対策や利用ルールが必要となる場合がある。一方で、親が子どもの考えや感情、選択そのものを操作しようとする関わりは、自律性を損なう可能性があるという整理だ。Dove Press

これは、単純な「放任か管理か」という二択ではない。

親が担う安全管理と、本人へ渡していく選択・判断の領域を分けて考える問題となる。

親が決める領域から、本人が決める領域へ

思春期になると、動画やスマートフォンだけでなく、勉強方法、部活動、友人関係、進学、将来の仕事など、本人が判断する領域は広がっていく。

今回の研究は進路選択そのものを調査したものではない。しかし、親が子どもの内面や意思決定に介入することと、自律性との関係を扱っている点で、進路を誰がどこまで決めるのかという親子の役割分担にも接続する。

親がすべてを選ぶ状態から、本人と一緒に考え、年齢や状況に応じて選択と責任を本人へ渡していく。その際にも、親の役割がなくなるわけではない。安全面や家庭としての条件を示す役割と、本人自身が考えて決める領域を切り分ける必要がある。

なお、今回の研究は一時点で測定した横断研究である。したがって、「親の心理的統制がショート動画の問題的利用を引き起こした」と因果関係まで断定することはできない。確認されたのは両者および心理的要因の関連であり、今後は縦断研究などによる検証が必要となる。Dove Press

出典:Wang M, Xue R, Fu L, et al. Gender Differences in the Association Between Parental Psychological Control and Adolescent Problematic Short-Form Video Use: A Multiple Mediation Model. Psychology Research and Behavior Management. 2026.
研究論文

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