子ども8988人、自立は安全と段階が鍵-英国-

子どもにどこまで一人で行動させるか。親が付き添う段階から本人に任せる段階へ移るとき、単に自由を増やすだけでは十分ではないことを示す研究が英国で発表された。

英エクセター大学の研究チームは、イングランド9地域の子ども・若者8,988人を対象に、保護者が同行せずに移動・行動できる範囲と、本人のウェルビーイングとの関係を分析した。研究は2026年9月10日、学術誌『Wellbeing, Space and Society』に掲載された。

あわせて読みたい
やりたいことをみつける、大人進路ステーション 大人進路STATION もうひとつのキャリプランとは WHAT WE DO 「何か変えたい。変化させたい」 そんな時、一度立ち止まって方向性を考えてみる。 個の時代、心の時代 「自...

対象は11歳以下が7,780人、12〜18歳が1,208人である。地域を探索する活動「Beat the Street」の開始時データを使った横断研究で、ウェルビーイングはWHO-5、本人だけで移動できる範囲は7項目を組み合わせた指標で測定された。研究論文

分析では、自立的に移動できる範囲が広いほど、必ずウェルビーイングが高くなるという結果にはならなかった。

11歳以下では、本人だけで行動できる範囲の広さとウェルビーイングの低さに小さな関連が確認された。12〜18歳全体では統計的に明確な関連は確認されなかったが、地域を安全だと感じていない若者では、自立的な移動範囲の広さとウェルビーイングの低さとの関連が強かった。

ここでいう「自立」は、進路や生活全般を一人で決める能力ではない。大人の付き添いなしで地域を移動し、外出できる範囲を指している。

それでも、親子の役割分担を考えるうえで重要な示唆がある。子どもへ行動の自由や責任を渡すことは、親が単に手を離すこととは異なる。本人が周囲の状況を判断できるか、安全に行動できる環境があるか、少しずつ経験を積んできたかによって、同じ自由でも意味が変わる。

英国では、保護者なしで通学を認められた小学生の割合が1971年の86%から2010年には25%まで低下したという過去の調査がある。一方、現在は中等教育へ移る11歳前後に、子どもの行動範囲が急に広がりやすい。

研究チームは、この変化を「自立の崖」として捉えている。幼少期には親が行動を管理し、中等教育への移行時に急に本人へ任せるのでは、地域の把握、安全確認、困ったときの対応といった経験を段階的に積みにくい。

研究者は、横断歩道の整備、登下校時の見守り、複数の子どもが一緒に歩く仕組みなど、安全に自立を経験できる環境づくりを提案している。親に対しても、一度に自由を渡すのではなく、子どもの準備状況に応じて行動範囲を広げる必要があるとしている。エクセター大学の発表

この研究は一時点のデータを分析したものであり、自立的な行動がウェルビーイングを下げたという因果関係を証明したものではない。地域を安全ではないと感じる若者が、別の事情からウェルビーイングの低さを抱えていた可能性もある。

したがって、「子どもだけで行動させない方がよい」と結論づけることもできない。

重要なのは、親が管理を続けるか、すべて本人に任せるかという二択にしないことである。親が安全条件を整え、最初は一緒に確認し、本人の経験と判断力に合わせて行動範囲と責任を渡していく。自立とは、親が突然いなくなることではなく、本人が担える領域を段階的に増やしていく過程だと捉えられる。

😄
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次