韓国の性平等家族部は2026年9月1日、2027年度予算案を公表した。孤立・隠遁状態にある青少年を支える「ワンストップ・パッケージ」の拠点を、2026年の14カ所から2027年は29カ所へ増やす計画である。内訳は広域自治体単位の拠点を4カ所から9カ所へ、市・郡・区単位の拠点を10カ所から20カ所へ拡大し、関連予算を9億6400万ウォン増額する内容だ。
今回の発表は、政府案が閣議で議決された段階である。したがって、29カ所への拡大は確定した実績ではなく、2027年度予算案に盛り込まれた計画として見る必要がある。
韓国政府が使う「孤立・隠遁青少年」は、日本の「ひきこもり」と完全に同じ定義ではない。本記事では、家や限られた場所にとどまり、学校や社会との関係が細くなった若者を扱う点で重なるため、見出しに「ひきこもり」を用いる。一方、韓国側の制度名と対象表現は「孤立・隠遁青少年」である。
発見から自立支援までを一つにつなぐ
現行のワンストップ支援は、主に9〜18歳の孤立・隠遁青少年を対象とする。内容は、地域の公的・民間ネットワークやオンライン広報による早期発見、本人や家族への訪問相談、自助グループ、回復プログラム、体験活動、学習ニーズの把握、オンライン教育、進路探索、継続的なケース管理で構成される。
重要なのは、相談や心理的回復だけで終わらない点だ。再び孤立することを防ぐための事後管理に加え、学校外青少年支援センターの自立プログラムへつなぐ経路が含まれる。2026年の政策では支援地域を12地域から14地域へ、支援件数を年間1万3000件から1万7000件へ増やす方針が示されていた。2027年度予算案は、この仕組みをさらに29拠点へ広げる内容となる。
2026年下半期には全羅南道と忠清北道で事業開始が予定され、現行の実施地域は広域4地域と基礎自治体10地域である。利用は実施地域の学校外青少年支援センターや青少年相談1388を通じて受け付ける。

支援後の「次」を制度の中に置く
ひきこもり状態から社会へ戻る過程では、いきなり復学や就職だけを求めると、本人が選べる中間段階が乏しくなる。韓国の仕組みは、訪問相談から小さな活動、学び直し、進路探索、自立プログラムへの接続までを一続きに置いている。家から出ることや就職だけを単独のゴールにせず、本人の状態に応じて次の段階を選ぶ構造である。
ただし、政府発表からは、支援を受けた人のうち何人が復学、進学、職業訓練、就労、地域活動へ進んだのかは確認できない。1万7000件という数字も相談者数や利用者数ではなく「支援件数」と表現されており、人数との対応は不明である。拠点数の増加が、地域差の縮小や支援後の選択肢の充実にどこまで結びつくかは、今後の実施状況と成果公表を確認する必要がある。
学校や仕事から長く離れた人に必要なのは、一度の相談だけではない。発見、関係づくり、活動、学習、進路探索、事後管理を切れ目なくつなぎ、その途中で本人が進む方向を選べることが重要となる。韓国の拠点拡大案は、その支援経路を地域に増やそうとする動きとして注目される。

