英国政府は2026年9月27日、障害や長期的な健康上の制約があり、教育・雇用・職業訓練のいずれにも参加していない若者への就労支援を拡大すると発表した。
新たな対象となるのは、健康関連給付を受ける若者だ。2027年4月から、対象者は就労能力評価を受けた後、13週目から本人の希望に基づいて有給の仕事を提示される。政府は賃金を週25時間まで、6か月間100%負担する。
これは、すでに始まっている英国の「Jobs Guarantee」の拡張である。

従来の制度では、18〜24歳でUniversal Creditを受けながら18か月間仕事を探している若者が対象だった。今回の変更では、健康上の理由から仕事や教育から離れている若者について、18か月待つのではなく、より早い段階から仕事への接続を試せるようにする。
特徴は、単に仕事を一件紹介する制度ではない点にある。
対象者には、就職前後のメンタリングに加え、メンタルヘルス、家計、住居などについて本人の状況に応じた支援を組み合わせる。企業側にも採用時の費用支援を行う。本人が利用するかどうかは任意である。
背景には、英国のニート層そのものの変化がある。
政府発表では、英国のNEET状態にある若者のうち、障害があると回答した割合は45%に達し、2013/14年度の21.1%から2倍以上になった。Health Foundationも、2025年には16〜24歳のNEETの44%が「仕事を制限する健康上の状態がある」と回答しており、2015年の26%から大きく上昇したと報告している。
ここでいうNEETは、日本語で一般に使われる「ニート」とほぼ同じ政策分類だが、「ひきこもり」とは同義ではない。自宅中心の生活や長期の社会的撤退を直接条件とする概念ではなく、教育・雇用・職業訓練に参加していない状態を示している。
ただし、長く仕事や学校から離れた後に「この先どうするか」を考えるという点では重なる部分がある。
今回の制度で特に重要なのは、最初から長期就職を求めるのではなく、6か月の有給就労という中間段階を置いていることだ。
英国政府はさらに、病気や障害に関する給付を受けている人が、給付を失う不安から仕事を試せなくなる問題への対応として、「right to try」と呼ぶ仕組みも進めている。仕事を試したこと自体によって直ちに給付を失う不安を減らし、社会参加や就労への移行を試しやすくする考え方である。
一方、支援団体からは「仕事を始めた人数」だけで成果を測るべきではないとの指摘も出ている。障害者支援団体Senseは、仕事が本人に合い、必要な支援があり、その後も将来を築ける機会につながることが重要だとしている。
つまり課題は、「ニート状態から就職したか」だけではない。
仕事を試す、続けられるか確認する、必要なら別の選択肢を考える。その途中の段階まで進路として扱う必要がある。
長く学校や仕事から離れていた人にとって、「社会に出る」と「安定就労する」の間には距離がある。英国の新しい制度は、その間に有給就労、メンタリング、生活支援という段階を置こうとしている。
ニート状態の後に何を置くのか。今回の政策は、その問いに対して「いきなり最終就職ではなく、支援付きで仕事を試せる期間を置く」という一つの答えを示している。

