中学生の親85%が学力と実務力を重視、Tレベル認知21%-英国-

子どもには、学力だけでなく、社会で役立つ実践的な能力も身につけてほしい。しかし、その両方を学べる進路を、保護者はどの程度知っているのか。

2026年10月1日、英国教育省は、イングランドの12〜13歳の子どもとその家庭を対象とした大規模調査「Growing Up in the 2020s」の初回報告書を公開した。

調査対象は約8,000人の中等学校2年目(Year 8)の生徒。2025年1〜6月に本人、保護者、教員から情報を収集し、家庭環境、学校生活、教育への期待、16歳以降の進路に関する認識などを分析した。GOV.UK

親の85%は学力と実務力の両方が重要と回答

調査では、保護者に対して、将来の人生でより多くの機会や選択肢を得るために何が重要かを尋ねた。

その結果、85%が「学業成績と実践的な技能の組み合わせ」を選んだ。

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実践的な技能だけを重視した保護者は11%、学業成績だけを重視した保護者は4%だった。

大多数の保護者は、学力と実務力を対立するものとは考えていない。両方を身につけることが、子どもの将来の選択肢を広げると捉えている。UK Government Asset Library

しかし、具体的な教育制度の認知度には大きな違いがあった。

Aレベル83%、Tレベル21%

保護者に16歳以降の教育・職業訓練制度を知っているか尋ねたところ、認知率は次のとおりだった。

進路・資格制度保護者の認知率
Aレベル(大学進学につながる学術資格)83%
アプレンティスシップ(就労と訓練を組み合わせる制度)74%
トレイニーシップ28%
Tレベル(実務経験を組み込んだ技術系資格)21%

同じ16歳以降の選択肢でも、保護者が知っている制度と、ほとんど知られていない制度に大きな差がある。UK Government Asset Library

Tレベルは、イングランドの16〜19歳を対象とする2年間の技術教育資格である。

学習内容はAレベル3科目分に相当し、原則として最低45日間の企業実習を含む。修了後には、専門分野での就職、高等教育、アプレンティスシップなどへの進路がある。

つまり、学力と実務力の両方を身につけたい生徒にとって、検討対象となり得る制度である。T Levels

親の75%は子どもの大学進学を予想

今回の調査では、75%の保護者が、自分の子どもは大学へ進学する可能性が高いと考えていた。

一方、特別な教育的支援を受けている子どもの保護者では47%で、支援を受けていない子どもの保護者の82%を下回った。

また、子どもの小学校段階の学力や家庭の経済状況によっても、大学進学への期待に違いが見られた。UK Government Asset Library

ただし、大学進学への期待が高いこと自体は、職業教育を否定していることを意味しない。

今回確認されたのは、保護者の期待と、実際に知っている進路制度の範囲が必ずしも一致していないという状況である。

家庭によって、知っている選択肢にも差

進路制度の認知度には、家庭環境による違いもあった。

例えば、Aレベルの認知率は、特別な教育的支援を受ける子どもの保護者で70%、それ以外の保護者では87%だった。

また、経済的に不利な状況にある家庭や、保護者の学歴が低い家庭などでは、提示された16歳以降の進路制度を一つも知らない割合が10〜19%となり、比較対象となる家庭の4〜6%より高かった。UK Government Asset Library

子どもがどの進路を選ぶか以前に、家庭によって検討できる選択肢の情報量が異なっている。

子どもへ判断を渡す前に、選択肢をそろえられるか

SK進路×子育て講座の「親が選ぶ→本人と考え責任を渡す」という考え方では、本人に任せることだけが重要なのではない。

本人が判断するための材料を、どのように用意するかも重要になる。

保護者が大学進学しか知らなければ、子どもとの会話も大学を中心に進みやすい。

一方、大学進学、技術教育、職業訓練、就労を組み合わせた学びなどを知っていれば、本人の興味や適性に合わせて比較できる範囲が広がる。

親が担えるのは、制度を調べ、情報を整理し、本人が比較できる環境を整えることだ。

そのうえで、何を学びたいのか、どのような経験を積みたいのか、どの道を選ぶのかという判断を本人へ渡していく。

今回の調査は、進路制度の認知度と子どもの意思決定能力の因果関係を証明したものではない。

しかし、親が子どもの将来を考えていても、具体的な選択肢を十分に知らない場合があることを示している。

親の期待と、親が持っている情報。そして本人が希望する将来。

この三つを分けて整理することが、親子で進路を考える際の重要な課題となる。

出典:英国教育省「Growing Up in the 2020s: first survey of young people at age 12 and 13」、2026年10月1日公開。GOV.UK

英国教育省・調査報告書

Tレベル制度公式サイト

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