16〜19歳の親909人、過保護に社会不安も影響 -オーストラリア-

子どものことを心配する親が、なぜ必要以上に子どもの判断へ入り込んでしまうのか。

Griffith Universityは2026年9月16日、16〜19歳の子どもを持つオーストラリアの親909人を対象にした研究を紹介した。研究では、社会の不安定さへの懸念やSNS上で他の親と自分を比較することが、親の不安だけでなく、過保護な子育てとも関連していた。

研究が扱った「過保護」は、単に子どもの世話をよくすることではない。

あわせて読みたい
やりたいことをみつける、大人進路ステーション 大人進路STATION もうひとつのキャリプランとは WHAT WE DO 「何か変えたい。変化させたい」 そんな時、一度立ち止まって方向性を考えてみる。 個の時代、心の時代 「自...

子ども自身が取り組むべき課題を親が代わって行う、本人の自己決定や意思決定へ過度に関与する、年齢相応のプライバシーや自律性へ介入するといった関わりを指している。つまり、「支えること」と「本人が決めたり解決したりする機会を親が引き取ること」を区別している。

調査対象となった親の平均年齢は45.8歳で、66%が母親、33%が父親だった。子どもの平均年齢は16.9歳。進学や就職など、親子の関係が「親が決める」段階から本人の意思決定へ移っていく時期にあたる。

研究では、親が感じる社会的な脅威、理想的な親でなければならないという圧力、SNSで他の親と比較する傾向、親自身の不安と過保護との関係を分析した。

その結果、世界を不安定で脅威の多い場所だと認識することと、SNS上で他の親と自分を上方比較することが、より強い親の不安と過保護な関わりに関連していた。特にSNS上での比較は、過保護と親の不安を予測する強い要因の一つだった。

研究でいう社会的な脅威には、若者の仕事やキャリアをめぐる競争、経済的不確実性、住宅取得の難しさ、気候変動、世界情勢の不安定さなどが含まれる。

親から見れば、子どもがこれから入っていく社会が不安定に見えるほど、「失敗させたくない」「間違った選択をさせたくない」という判断が強まりやすい。その結果、本人の意思決定や活動へ親がより深く関わる可能性があるという構造だ。

ただし、この研究から「親の心配が過保護を引き起こす」と単純な因果関係を断定することはできない。

研究は一時点で行ったオンライン調査であり、社会への不安やSNS比較と過保護との関連を分析したものだ。また、親が積極的に子どもへ関わること自体を否定しているわけでもない。研究論文でも、親の関与は自律性を支えるコミュニケーションと組み合わされれば、子どもの発達に有益になり得るとしている。

SK進路×子育ての対象領域と重なるのは、この境界である。

16〜19歳になっても親の役割がなくなるわけではない。一方、将来が心配だからと、進路を決める、問題を解決する、失敗を先回りして取り除くところまで親が担えば、本人が判断する領域は狭くなる。

「何をしてあげるか」だけではなく、「何を本人へ渡すか」が問題になる。

社会が不安定に見える時ほど親が多くを担いたくなる。その状況で、本人が考える範囲、選ぶ範囲、失敗できる範囲をどこまで残すのか。

今回の研究は、過保護を親個人の性格だけの問題として捉えるのではなく、親自身が受けている社会的不安や比較圧力まで含めて考える必要性を示している。

出典:Griffith University、2026年9月16日/Family Relations

Griffith University発表
原著論文

😄
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次