長期無業の18〜24歳に「6か月の有給仕事」 ウェールズで最初の若者が就労開始-ウェールズ-

英国で、長期間仕事から離れている若者に対し、就職活動を続けさせるだけではなく、政府が有給の仕事そのものを用意する制度が動き始めた。

英国政府は2026年8月28日、ウェールズで「Jobs Guarantee」を利用する最初の若者たちが実際に働き始めたと発表した。対象は18〜24歳で、Universal Creditを受給しながら18か月にわたり仕事を探してきた若者である。GOV.UK

今回の制度で特徴的なのは、職業相談や研修だけで終わらず、実際の有給雇用まで制度の中に組み込んでいることだ。

週25時間、6か月の仕事を政府が全額負担

Jobs Guaranteeでは、参加者の能力や経験に合わせて仕事をマッチングする。

政府が週最大25時間の賃金を6か月間全額負担し、参加者は実際の職場で働く。仕事に入る前後には、自信を取り戻すための支援や職場内での技能訓練なども行う。地域の実施機関と企業が連携し、就労開始後も支援を続ける仕組みとなっている。GOV.UK

ウェールズでは今後3年間で3,500人を仕事につなぐ計画で、最初の参加者はカーディフ、ニューポート、マーサー・ティドビル、ブリジェンド、スウォンジー、ケアフィリー、ロンザ・カノン・タフなどですでに働き始めている。GOV.UK

英国全体では、2029年までに9万人を超える若者を対象とする計画だ。制度は現在、一部地域で先行実施されており、2026年後半に対象地域を広げる予定となっている。GOV.UK

「仕事を探し続ける」状態から実際の職場へ

長期間無業状態にある若者への支援では、履歴書作成、面接練習、職業訓練、求人紹介などが行われても、その先の「最初の仕事」に入れないことがある。

Jobs Guaranteeは、この部分に直接介入する。

条件を満たした若者に対して、就職できるまで支援を続けるのではなく、まず6か月間の有給雇用を作り、実際に働く経験を持たせる構造である。

仕事を経験することで、生活リズム、職場での人間関係、仕事を続ける感覚、職業上の技能などを実際の環境で身につける。そのうえで継続的な雇用へ移ることを狙っている。GOV.UK

一方で「18か月の給付受給」という入口がある

制度には明確な対象条件もある。

全国展開後のJobs Guaranteeは、18〜24歳でUniversal Creditを受給しながら18か月仕事を探している若者を対象とする。GOV.UK

したがって、長期間仕事にも教育にも参加していなくても、給付制度につながっていない若者は原則としてこの経路には入らない。

英国では、18〜24歳のNEETの中に給付を受けていない「hidden NEETs」が相当数存在することも直近の研究で指摘されている。Institute for Fiscal Studiesは9月3日、2025年末時点で18〜24歳のNEETが約90万人おり、そのうち約30万人は給付を受けていないと整理した。Institute for Fiscal Studies

つまり英国では現在、二つの課題が同時に見えている。

一つは、支援制度につながりながら長期間仕事に入れない若者を、実際の雇用へどう移すか。

もう一つは、そもそも給付や就労支援の入口に現れていない若者と、どう接点を作るかである。

今回始まったJobs Guaranteeは前者に対して、「相談の先に実際の仕事を置く」という具体的な出口を作った。

不登校やひきこもり、長期無業の後の進路では、支援を受けること自体が最終地点ではない。

支援を受けた後、実際にどこへ進めるのか。

その問いに対し、英国は「一定期間の有給雇用そのものを次の段階として用意する」という制度を動かし始めている。

出典

英国政府「Jobs Guarantee turns promise into paycheques for young people in Wales」2026年8月28日

英国政府 Jobs Guarantee制度資料

Institute for Fiscal Studies「Off the radar: who are NEETs not claiming benefits?」2026年9月3日

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