ニート若者、「待つ支援」から探しに行く支援へ-スウェーデン-

スウェーデン・ストックホルムで、仕事にも教育にも職業訓練にも参加していないNEETの若者を、支援窓口で待つのではなく、支援側から見つけて接点をつくる「アウトリーチ」をテーマにした新たな実務交流が行われる。

EUバルト海地域戦略の「Baltic Sea Network for Youth Guidance Centres and NEET Services」が2026年9月9日に募集を開始したもので、11月10〜12日にストックホルムでワークショップと現地視察を実施する。申込期限は10月10日、参加枠は50人となっている。EUSBSR

今回の中心課題は、すでに支援窓口へ来ている若者へのサービスではない。

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支援につながっていないNEETの若者を、どう見つけ、どう接点をつくり、本人が教育や仕事へ一歩進もうと思える状態をつくるかである。

ストックホルム市がホストとなり、長年行ってきた若者へのアウトリーチの実例を現地視察で共有する。対象として想定されているのは、精神面の障害がある若者、社会的な接触が限られている若者、犯罪に直接・間接的に関係している若者などである。EUSBSR

NEETは「Not in Employment, Education or Training」の略で、日本の「ひきこもり」と同義ではない。

しかし、今回の取り組みが対象に含める「社会的接触が限られている若者」は、長く社会から離れ、既存の支援機関にも自分からアクセスしにくい人を含む。この層では、制度や職業訓練を用意するだけでは支援が届かないという問題がある。

この問題は、2026年3月に発表されたストックホルム大学などの研究でも確認されている。

研究では、スウェーデンで15〜29歳のNEETを支援する地域プロジェクトについて、46人の実務者へのフォーカスグループ調査などを実施した。その結果、アウトリーチは社会的に孤立した若者へ接触するうえで不可欠と認識されている一方、通常業務やケース管理に時間を取られ、後回しになりやすいことが示された。フロンティアーズ

さらに問題となったのが、若者と一度接触した後である。

研究は、支援機関との接点をつくるだけでは持続的な移行にならず、本人との信頼関係を維持しながら、教育や仕事など次の場所までつなぐ「関係のインフラ」が不足していると指摘している。フロンティアーズ

今回のストックホルムでの取り組みは、この課題をバルト海地域全体で共有する動きでもある。

ネットワークは2026年3月、ポーランド・クラクフで7カ国から50人以上が参加して発足した。若者支援センターやNEET支援機関が、本人との信頼形成、雇用主との接続、複数機関による支援体制などを共同で検討している。EUSBSR

バルト海地域では、NEETの若者の中に、社会的孤立、進路相談へのアクセス不足、学校から仕事への移行の難しさを抱える人がいることが課題となっている。ネットワークでは、若者支援センターを一つの窓口として、教育、雇用、福祉など複数の支援を本人中心でつなぐ方法を共有している。EUSBSR

ここで進路上の問題になるのは、支援制度の「入口」だけではない。

家や限られた人間関係の中にいる。支援者と接点を持つ。信頼関係をつくる。自分が利用できる支援を知る。教育へ戻るのか、職業訓練へ進むのか、仕事を探すのかを考える。そして実際に次の場所へ移る。

その一連の移行を切らずにつなぐ必要がある。

ニートや社会的孤立状態にある人に「この先どうするか」という選択肢が存在していても、本人がその選択肢までたどり着けなければ進路にはならない。

ストックホルムで始まる今回の実務交流は、支援を用意して待つ段階から、まだ支援につながっていない若者を見つけ、本人との関係をつくり、次の進路までつなぐ段階へ進む動きとなっている。

出典
EU Strategy for the Baltic Sea Region「Stockholm workshop on outreach work」
Stockholm workshop・study visit詳細
Swedish ESF Council 2026年9月29日案内
Frontiers in Sociology「Reaching the margins」

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