子どものインターネット利用を心配して、親が厳しく管理する。その関わり方は、子どもを守ることにつながるのか。
2026年10月9日、学術誌『Current Psychology』に、台湾の青少年6,507人を対象とした追跡研究が公開された。
研究では、親の関わり方を4種類に分類したところ、強い関与が子どもを守る場合と、かえって生活満足度の低下に結びつく場合があることが分かった。
一方、子どもと共有し、励ます関わり方は、抑うつ症状との関係で保護的な傾向を示した。

2023年から2025年まで、3回の調査を実施
研究を行ったのは、台湾の研究者Tzu-Shen LinとYuh-Huey Jouである。
分析には、台湾の大規模追跡調査「Taiwan i-Generation Panel Study」のデータを使用した。
最初の調査は2023年5月に始まり、中学1年生に相当する生徒8,908人が参加した。
その後、2024年と2025年にも調査を行い、3回分のデータがそろった6,507人を分析対象とした。
内訳は男子3,305人、女子3,202人である。
調査では、2023年のインターネット依存傾向、2024年の親の関わり方、2025年の心理的な状態を分析した。
同じ時点で質問するだけでなく、時間の経過に伴う関係を検討した点が特徴となっている。
親の関わり方を4種類に分類
研究では、インターネット利用に対する親の関わり方を、次の4種類に分類した。
| 分類 | 主な特徴 |
|---|---|
| 強い関与型 | 見守りや監視など、複数の方法で積極的に関与 |
| 共有・励まし型 | 子どもと内容を共有し、前向きな利用を促す |
| 関与が少ない型 | 利用への働きかけが比較的少ない |
| 制限・反対型 | 利用を制限し、叱責や反対を伴う |
分類に使用したのは、制限、共有、積極的な働きかけ、心配、監視、反対という6つの要素である。
例えば、利用時間の制限、閲覧履歴の確認、インターネット上の話題を親子で話すこと、利用に対する叱責などが含まれる。
実際の家庭では、親が一つの方法だけを使うとは限らない。
利用時間を制限しながら、一緒に動画を見る場合もある。
研究は、個別の行動だけでなく、それらが組み合わさった家庭の関わり方を分析した。
強い関与が保護にも負担にもなる
今回の研究で注目されるのは、強い関与型の結果である。
インターネットへの強い衝動や離脱症状がある場合、親の積極的な関与は、生活満足度との負の関連を弱める方向に働いていた。
一方、インターネット利用によって学業や人間関係、日常生活に深刻な問題が生じている場合には、強い関与型で、その後の生活満足度の低下と結びつく傾向が確認された。
同じように親が強く関わっていても、子どもがどのような問題を抱えているかによって、関連の仕方が異なっていたことになる。
ただし、これは観察研究であり、親の監視が生活満足度の低下を直接引き起こしたと証明したものではない。
子どもの問題が深刻だからこそ、親の関与が強まるという逆方向の関係も考えられる。
実際に研究では、初期の問題が後の親の関わり方と関連していることも確認された。
「共有して励ます」関わり方の特徴
一方、共有・励まし型は、抑うつ症状との関係で保護的な傾向を示した。
この関わり方は、単に子どものインターネット利用を放任するものではない。
親が子どもの見ている内容に関心を持ち、話題を共有し、前向きな使い方を促すことが含まれる。
また、関与が少ない型では、孤立感が強まる可能性につながる結果が示された。
つまり、今回の研究は「親は口を出さない方がよい」という結論ではない。
関与の強さだけではなく、どのように関わるか、子どもがどのような状態にあるかが重要となる。
親が管理することと、本人が管理できること
インターネット利用は、親子の役割分担が表れやすい場面である。
小さい頃は、利用する機器や時間を親が決めることが多い。
しかし、成長するにつれて、子ども本人が情報を選び、時間を配分し、問題が起きたときに対応する場面が増えていく。
親が利用時間を管理することと、本人が自分の利用状況を判断できるようになることは、同じではない。
例えば、利用時間が長くなったとき、親が一方的に制限する方法がある。
一方で、睡眠や学習への影響を本人と確認し、どのように使うかを話し合う方法もある。
もちろん、深刻な問題が生じている場合には、安全確保や専門的な支援が必要になることもある。
今回の研究は、どの方法がすべての家庭で最適かを示したものではない。
それでも、親の強い関与が常に保護的とは限らず、関与の仕方によって結果との関連が異なることを示している。
親が管理する範囲と、本人が判断する範囲をどう変えていくか。
スマートフォンやインターネットの利用は、家庭内でその役割を考える具体的な題材となる。
研究の限界
今回の分析対象は台湾の青少年であり、日本の家庭にそのまま当てはまるとは限らない。
また、親の関わり方は子ども側の回答に基づいており、親本人の意図や実際の行動をすべて把握したものではない。
さらに、研究はインターネット利用と心理的健康の関係を分析したものであり、進学や職業選択への直接的な影響を検証したものではない。
それでも、子どもの自立を考えるうえで、親の関与を単純に「多いか少ないか」で評価できないことを示す研究となっている。
出典: Tzu-Shen Lin, Yuh-Huey Jou, The double-edged sword of digital parenting profiles: a three-wave longitudinal study on internet addiction and adolescent well-being in Taiwan, Current Psychology, 2026年10月9日公開。

