英国の労働組合Communityは2026年9月27日、教員・教育職員の定着をテーマにした新キャンペーン「Retention, Retention, Retention」を開始した。
背景にあるのは、教員を新たに採用することだけでは解決しない「定着」の問題である。同組合とFabian Societyによる調査では、イングランドで2024/25年度以降、フルタイム教員の12人に1人が教員労働力から離れ、資格取得後5年以内では3人に1人が学校を離れているとしている。Community Trade Union
今回のキャンペーンが特徴的なのは、単純な採用増ではなく「なぜ資格を持つ教員が続けられないのか」を中心に置いている点だ。

Communityは、教員や教育職員が直面する問題として、重い業務量、柔軟な働き方の不足、暴言・暴力への対応などを挙げている。こうした勤務条件がバーンアウトやウェルビーイングの悪化、高い離職率につながっているとの認識を示した。Community Trade Union
具体的な対策として求めているのは、授業の計画・準備・評価に使う時間の確保、包括的な業務量削減策、問題行動への専門的支援、学校監査の頻度見直し、柔軟な働き方、教員定着のための金銭的インセンティブ、ウェルビーイング支援などである。Community Trade Union
これは「教員を辞めないよう説得する」という発想とは異なる。
教員本人が仕事を続けられなくなる背景には、教職そのものへの適性だけではなく、業務量、勤務時間、裁量、給与、支援体制、職場環境など複数の条件がある。今回のキャンペーンも、定着問題を個人の我慢や職業意識ではなく、働く条件の問題として整理している。
SK進路の対象領域から見ると、この点は重要である。
メンタル不調などを経験した教員が今後を考える場合、「復職するか退職するか」だけを比較すると選択肢が極端になりやすい。しかし実際には、現職継続、異動、勤務条件の変更、休職継続、退職、転職、教育分野で別の働き方を選ぶなど複数の方向が存在する。
今回示された「5年以内に3人に1人」という数字も、教職を続けられない原因を本人だけに求めることの難しさを示している。
一方で、制度や勤務条件が改善すればすべての教員が残るべきだという意味でもない。条件を変えれば続けられる人もいれば、教職以外へ進むことが適切な人もいる。
教員本人の進路判断では、「教員を続けられるか」ではなく、何が負担なのか、何が変われば続けられるのか、それでも難しい場合に次に何を選ぶのかを分けて考える必要がある。
英国で始まった今回の取り組みは、教員不足を採用数だけで見るのではなく、すでに教員として働いている人が「この働き方を続けられるか」という問題から捉え直す動きである。Community Trade Union
出典:Community Trade Union「Retention, Retention, Retention」、2026年9月27日公開。
Community Trade Unionの発表

