海外資格の教員、教科制限を撤廃し英国資格申請へ -イングランド-

イングランド教育省は2026年10月13日、海外で養成を受けた教員が英国の教員資格「QTS(Qualified Teacher Status)」を申請する際の資格要件を変更した。

今回の変更では、対象国で教員養成を受けた人について、担当教科による申請制限を撤廃した。

特に影響を受けるのは、シンガポール、南アフリカ、ジャマイカで教員養成を受けた人だ。

これまでは、イングランドの所定の教職に就いていない場合、数学・理科・語学の専門性を持ち、11〜16歳の生徒を教える資格があることが、申請資格の条件となっていた。

10月13日の改定により、対象国で教員養成を受けた人は、担当教科にかかわらずQTSの認定申請を検討できるようになった。

ただし、教科の制限がなくなっただけであり、学歴、教員資格、教職経験、英語力などの要件は引き続き適用される。GOV.UK

変更されたのは「教える教科」の条件

イングランドのQTSは、学校で教員として働くための専門資格だ。

海外で教員資格を取得した人については、一定の条件を満たせば、イングランドの教員養成課程を最初から受け直さずに資格認定を申請できる仕組みがある。

今回の改定は、この海外資格認定制度の申請対象を広げるものだ。

従来、南アフリカ、シンガポール、ジャマイカで養成を受けた教員の一部には、専門教科と担当可能な年齢に制限が設けられていた。

今回、その制限が撤廃された。

これにより、従来は教科条件によって申請できなかった教員にも、資格認定を受ける機会が生まれる。

一方、認定されるには、引き続き厳格な資格要件を満たす必要がある。

申請には教職経験や英語力が必要

教育省が示す主な要件には、英国の学士号と同等水準の学位、養成を受けた国での正式な教員資格、教職経験などがある。

教職経験については、資格取得後に少なくとも1学年相当の勤務経験が必要だ。

また、授業の計画、実施、児童生徒の評価について責任を持った経験も求められる。

英語力については、一定の免除条件に該当しない場合、CEFR B2相当の能力を証明しなければならない。

英国政府が認める試験には、IELTS for UKVIなどが含まれる。

つまり、外国で教員資格を取得していれば、自動的にイングランドの資格が認められるわけではない。

申請前に、自分の資格・勤務経験・英語力が条件に合うかを確認する必要がある。GOV.UK

資格の認定と就職・ビザは別

海外で教員資格を取得した人にとって、今回の変更はイングランドで教えるための選択肢を広げる。

しかし、QTSの取得は就職を保証するものではない。

英国政府は、資格認定の申請サービスについて、教員としての仕事を提供したり、就労ビザの取得を支援したりするものではないと明記している。

イングランドでは、個々の学校が教員を雇用する。

そのため、実際に働くには、資格認定とは別に求人への応募や就労資格の確認が必要となる。

また、資格認定申請の審査期間について、教育省は申請の90%を12か月以内に審査していると説明している。

申請から就職までの期間を考える際には、この審査期間も考慮する必要がある。GOV.UK

対象国にも違いがある

今回の改定では教科の条件が緩和された一方、対象国の扱いには別の変更もある。

2026年9月9日からは、ガーナ、インド、ナイジェリアで養成を受けた教員について、この資格認定サービスの対象から外れた。

教育省は、教員の専門資格や職歴を確認するための条件を満たせないことなどを理由としている。

ただし、この変更は、それらの国で資格を取得した人がイングランドで教員になる道をすべて失ったことを意味しない。

別の教員資格取得ルートを検討することは可能だ。

また、今回の申請対象国・地域には、オーストラリア、カナダ、香港、ニュージーランド、シンガポール、南アフリカ、米国などが含まれる。

日本は、この海外資格認定サービスの対象国一覧には含まれていない。

したがって、日本で教員免許を取得した人が今回の改定によって直接申請できるようになったわけではない。GOV.UK

海外で教えるという進路を考える際の判断材料

今回の変更は、外国の学校で働くことを考える教員にとって、資格認定条件が進路の可能性を左右することを示している。

特に、これまで教科条件によって申請できなかった対象国の教員にとっては、具体的な制度変更となる。

一方、日本の教員がイングランドで働くことを考える場合は、今回の認定制度をそのまま利用できない。

別の資格取得方法、必要な教職経験、英語力、就労ビザなどを確認する必要がある。

海外の教育現場への転身は、本人の希望だけで決められるものではない。

どの国で資格を取得し、どの教科を教え、どの程度の勤務経験があるかによって、利用できる制度が異なる。

今回のイングランドの制度改定は、その違いを具体的に示す事例となった。

出典

英国教育省「Overseas-trained teachers: apply for qualified teacher status in England」(2026年10月13日更新)

https://www.gov.uk/government/publications/overseas-trained-teachers-apply-for-qualified-teacher-status-in-england/overseas-trained-teachers-apply-for-qualified-teacher-status-in-england

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