不登校の子どもを学校に戻すため、親ができることを探し、行動する。しかし、親が頑張ることと、子どもの状況が改善することは必ずしも一致しない。
2026年10月6日、椎名ストレスケア研究所は、不登校の子どもを持つ保護者の経験をまとめた書籍の発売に合わせ、アンケート結果を公表した。
調査では、子どもを思いどおりに動かそうとした経験について、回答した保護者59人のうち、その対応を「良かった」と振り返った人は0.0%だった。
一方、「自分が頑張れば解決できる」と考えて行動していた保護者は、回答75人の98.7%に達した。
子どものために親が努力することと、子どもを親の望む方向へ動かすことの違いが浮かび上がった。プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES
保護者の98.7%が「自分が頑張れば解決できる」と考えた
今回の結果は、全国の不登校児童生徒の保護者約3,500人が参加するオンラインコミュニティ「ほごらぼ」で実施したアンケートに基づく。

調査期間は2025年12月から2026年4月。Googleフォームを利用して複数回実施された。
主な結果は次のとおりだ。
| 保護者の経験・行動 | 割合 | 回答人数 |
|---|---|---|
| 自分が頑張れば解決できると思って行動した | 98.7% | 75人 |
| 子どもを思いどおりに動かそうとして良かった | 0.0% | 59人 |
| 学校に行かせるために何らかの行動をした | 88.4% | 86人 |
| 生活リズムを整えようとした | 80.4% | 92人 |
| ゲーム・スマホを制限した | 74.4% | 82人 |
注意したいのは、3,500人全員が回答した調査ではない点だ。
設問によって回答人数が異なり、参加者も不登校に関する保護者コミュニティに所属する人々である。
したがって、これらの割合を全国の不登校家庭全体に当てはめることはできない。プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES
学校に行かせるために88.4%が行動
今回の調査では、学校に行かせるために何らかの行動をしていた保護者が88.4%だった。
生活リズムを整えようとした人は80.4%、ゲームやスマートフォンを制限した人は74.4%に達した。
いずれも、不登校への対応として家庭で行われてきた行動である。
ただし、生活リズムの調整やスマートフォンの制限が、すべての家庭で不適切だったと示されたわけではない。
調査が示しているのは、保護者が実際にどのような対応を行い、その後どう振り返ったかという点だ。
特に、子どもを思いどおりに動かそうとした経験について「良かった」と回答した人がいなかったことは、親の働きかけを考えるうえで注目される。
子ども側からは異なる受け止め方も
今回発売された書籍では、保護者だけでなく、子ども側の声も収録している。
取り上げられたのは、不登校への対応として広く語られてきた八つの考え方だ。
学校への早期復帰、生活リズムの調整、ゲームやスマートフォンの制限、親の努力による解決などについて、実際の経験と振り返りを整理している。
子ども側の声には、生活リズムは本人の状態によって異なるのではないかという疑問や、親から自分の力を信じてもらえていないと感じた経験もある。
同じ親の行動であっても、親が意図した支援と、子どもが受け取った意味は一致しない場合がある。
今回の書籍は、こうした違いを一つの正解にまとめず、親子双方の経験として紹介している。プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES
親が引き受ける責任と、本人に渡す判断
不登校への対応では、親が学校との連絡、相談先の確保、生活環境の調整など、多くの役割を担う。
子どもの年齢や健康状態によっては、親が判断しなければならないこともある。
一方、子ども自身が何を望み、どのような方法なら試せるのかという問題もある。
学校に戻るかどうか。
学校以外の学び方を調べるか。
今は休むのか、何かを少しずつ始めるのか。
これらは親だけの判断でも、子どもだけの責任でも完結しない。
親が情報を集め、利用できる条件を整えたうえで、本人が考えられる範囲を広げていくという役割分担も考えられる。
例えば、親が学校や支援機関から情報を集め、本人が関心のある選択肢を比較する。本人が試した結果を親子で振り返り、次の行動を決める。
ただし、これは今回の調査で効果が検証された方法ではなく、親子の役割を整理する一つの考え方である。
親が頑張ることと、本人が動き出すことは別
今回の調査は、不登校への対応方法の優劣を科学的に比較した研究ではない。
また、回答者の振り返りであり、個々の対応が不登校の改善や悪化を引き起こしたと判断することもできない。
それでも、親が問題を解決しようとして多くの行動を取り、その後、子どもを思いどおりに動かそうとしたことを肯定的には振り返っていないという事実がある。
子どもの安全や生活を守る親の役割は残る。
その一方で、本人の希望、判断、行動まで親が引き受け続けることが適切なのかという問題がある。
親が何をしてあげるかだけでなく、子どもが何を自分で考え、選べるようになるか。
不登校への対応を通じて、親子の役割分担を考える材料となる調査である。
出典:椎名ストレスケア研究所、2026年10月6日発表。書籍『お母さんだからってなんでもできると思わないでね。─不登校保護者3500人の本音と実践例─』。

