教員のメンタル不調への対応を、「休職した後」だけでなく、不調の予防から休職中、復職後まで連続して支える新たな実証事業が始まる。
2026年9月4日、メンタルヘルステクノロジーズは子会社Avenirとともに、文部科学省の「2026年度教師の精神疾患による病気休職対策推進のための専門家活用事業」を受託したと発表した。9月8日に事業内容が報じられている。
今回の事業では、さいたま市、京都市などの任命権者や、浦添市などの市区町村教育委員会と連携する。
特徴は、教員のメンタルヘルス対策を3段階に分けている点だ。

不調になる前の一次予防ではICTを活用する。不調の兆候がある段階の二次予防では、産業保健師や心理専門職によるオンライン面談を行う。そして三次予防として、すでに休職している教員だけでなく、復職した後の教員も専門職が支援する。
目的には、精神疾患による休職率だけでなく「再休職率」の低減も明記されている。
この点は、教員本人の進路を考えるうえで重要となる。
文部科学省の2026年度予算資料によると、2024年度に精神疾患で病気休職した公立学校の教育職員は7,087人だった。そのうち1年以内に精神疾患を再発している割合は18.1%、休職期間が1年以上となっている割合は34.8%に達している。
つまり、問題は「休むかどうか」だけでは終わらない。
休職した後に復職できるか。
復職した後に働き続けられるか。
以前と同じ働き方に戻すのか。
業務や配置を変える必要があるのか。
復職後にも判断が続く。
文部科学省は今回の事業で、保健師が教育委員会と連携して復職支援プログラムを改良し、体系的なメンタルヘルス施策を構築することを想定している。公認心理師・臨床心理士による面談に加え、社会保険労務士など労務管理の専門家を活用し、職場環境改善について相談・助言する仕組みも事業に含まれている。
ここには、従来の「本人を治療して職場へ戻す」という考え方とは異なる部分がある。
本人の状態だけを見るのではなく、復職する職場側の環境にも介入するからだ。
精神疾患による休職から復職する際、本人が回復していても、休職前と同じ業務量、同じ人間関係、同じ配置、同じ勤務条件へそのまま戻れば、再び負荷が集中する可能性がある。
今回の実証では、複数自治体で専門家活用モデルの有効性や再現性、適用条件を検証し、最終的には参加していない教育委員会でも利用できる標準モデルとガイドラインの策定を進める。
SK進路が扱う「メンタル不調後の教員」という視点から見ると、今回の動きは復職支援の範囲が広がっている点に意味がある。
休職後の進路は、「復職する」「退職する」という二択ではない。
復職する場合にも、元の働き方へ戻るのか、業務を調整するのか、配置を変えるのか、段階的に戻るのかという選択がある。
さらに、復職してみた結果として、継続、異動、退職、転職を改めて考える場合もある。
今回の事業は、その中でも特に「復職した後も働き続けられるか」という部分を政策対象に含めたものとなる。
出典
文部科学省「令和8年度予算(案)主要事項」
教師の精神疾患による病気休職対策推進のための専門家活用事業
メンタルヘルステクノロジーズ発表・2026年9月4日、報道9月8日

