「完璧な親」の圧力と過保護、親418人を調査-ベルギー-

「子どものために、親はできる限りのことをするべきだ」。その考え自体は珍しくない。しかし、周囲から「良い親でなければならない」と感じる圧力が強くなるほど、結果として子どもへの関与が強くなりすぎる可能性がある。

2026年9月11日、学術誌『Family Process』に、ベルギーの思春期の子どもを持つ親を対象とした研究が公開された。研究は、社会から感じる「完璧な親であること」への圧力と、過保護・統制的な子育てとの関係を調べている。対象は母親276人、父親142人の計418人。子どもの平均年齢は16.35歳で、14~20歳が対象となった。Wiley Online Library

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社会からの圧力が強いほど過保護も強かった

研究でいう社会的圧力とは、単に親自身が教育熱心であることではない。

メディアやSNS、他の親、社会などから、「親は子どものために十分な時間や労力を使うべきだ」「子どもにとって何が最善かを常に把握しているべきだ」と感じるような圧力を指している。

分析では、こうした社会的圧力を強く感じていることが、母親・父親の双方で、より強い過保護と関連していた。父親では、学業面での統制的な関わりとも関連していた。Wiley Online Library

研究で扱う過保護とは、子どもの発達段階や能力に照らして必要以上に保護することを指す。一方、統制的な子育ては、子どもの行動や判断へ侵入的に関与することを意味する。今回の研究では、特に学業領域での統制に焦点を当てている。Wiley Online Library

「子どもの成功」と「親である自分」が近づきすぎる

研究ではもう一つ、親が「子どもとの関係をどの程度、自分自身を形づくるものとして捉えているか」も調べた。

母親では、この傾向が強いほど、過保護と統制的な子育ての双方が強いという関連が確認された。一方、社会的圧力の影響をこの傾向がさらに強めるという仮説については、裏付ける証拠は得られなかった。Wiley Online Library

また、母親と父親の違いについても分析されたが、育児を共有している家庭に絞って再分析すると、男女差は弱まった。研究者らは、親の性別だけでなく、家庭内で実際にどのように養育を分担しているかを見る必要があるとしている。Wiley Online Library

「関わらない」のではなく、役割を変えていく

今回の研究は、過保護によって子どもの進路結果がどう変わったかを直接測定した研究ではない。また、対象者の多くが高学歴の親であり、ベルギーのすべての家庭へそのまま一般化できるものでもない。

一方、思春期は、親が担っていた判断を本人へ徐々に移していく時期でもある。

宿題を確認する。
学校の情報を集める。
習い事を決める。
進学先を探す。
将来に有利な選択肢を用意する。

子どもが小さい時期には親の役割だったものが、成長しても同じ形で続けば、本人が情報を集め、比較し、決める機会は増えにくい。

SK進路×子育て講座で扱う「親が選ぶ→本人と考える→責任を渡す」という移行に照らすと、今回の研究が示す論点は、単純に「親は関わらない方がよい」ということではない。

むしろ問われるのは、子どもの成長に合わせて、親の役割そのものを変えられるかという点になる。

親が情報を集めて決める段階から、情報を一緒に整理する段階へ。さらに本人が比較して決め、親は必要な時に支援する段階へ移る。

「良い親でありたい」という思いが強いほど、親が担う仕事を増やす方向へ進みやすい。しかし、思春期以降には、親がさらに仕事を引き受けるだけでなく、本人へ渡していくことも親の役割になる。

今回のベルギーの研究は、過保護を親個人の性格だけの問題として扱わず、「親はここまでやるべきだ」という社会からの圧力との関係を示した点に特徴がある。

出典:Selçuk S. et al., Family Process, 2026年9月11日公開。Wiley Online Library

Family Process掲載論文

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