教員の燃え尽きは、本人の感情調整能力や教える力だけで防げるのか。中国・河南省の英語教員412人を対象とした調査から、個人の能力が同じでも、学校からの支援をどう感じているかによって、その働き方への表れ方が異なる可能性が示された。
研究は2026年9月22日、学術誌『Frontiers in Psychology』に掲載された。対象は河南省の鄭州、洛陽、信陽にある小中高校24校の英語教員で、調査は2025年3月から5月に実施された。
有効回答者412人のうち女性が301人で73.1%、男性が111人で26.9%だった。平均年齢は36.5歳、平均教職経験は11.3年。小学校教員が186人、中学校教員が190人、高校教員が36人で、358人、86.9%が公立学校に勤務していた。

研究では、教員の社会・感情面の能力、教えることへの自己効力感、学校からの支援についての認識、職業上の燃え尽きを質問票で測定した。
社会・感情面の能力には、自分の感情を把握・調整する力、他者の状況を理解する力、人間関係を築く力、難しい場面で責任ある判断をする力などが含まれる。
分析では、この能力が高い教員ほど燃え尽きが低いという負の相関が確認された。相関係数はマイナス0.40だった。ただし、より重要なのは個人の能力だけでは結果が決まらなかった点である。
学校が自分の貢献を評価し、心身の状態に配慮していると感じる程度が高い教員では、社会・感情面の能力と「自分は授業や学級運営を行える」という感覚との関連が強かった。関連の強さを示す傾きは、組織的支援を強く感じる群で0.50、弱く感じる群で0.28だった。
社会・感情面の能力が、教えることへの自己効力感を介して燃え尽きと結び付く間接効果は、組織的支援が高い場合には全体の効果の40.0%、低い場合には22.5%を占めた。低支援の環境では、この経路が44%小さかったと研究者は計算している。
研究が挙げた組織的支援には、管理職による支援、教員の貢献に対する承認、専門職としての裁量、必要な資源へのアクセスなどがある。中国の学校では、業務配分や福利厚生も支援の受け止め方に関係すると研究者は説明している。
これは「支援があれば燃え尽きを防げる」と証明した研究ではない。1時点の自己申告を分析した横断調査であり、因果関係は確認できない。対象も河南省3都市の英語教員に限られ、中国全体や日本の教員へそのまま当てはめることはできない。使用した社会・感情面の能力尺度も、独立した別集団での検証が今後必要とされている。
また、この研究は離職者や休職者を追跡したものではなく、復職・異動・退職・転職の結果を比較した研究でもない。
それでも、教員本人が「この学校で続けられるか」を判断する材料にはなる。自分の能力や努力だけを見るのではなく、管理職の支援、仕事の裁量、業務配分、必要な資源、貢献が認められる環境が実際にあるかを分けて確認する必要がある。
続ける、異動する、休職を継続する、退職する、別の仕事へ移るという判断は、本人の適性だけで決まるものではない。自分の力を発揮できる職場条件があるか、その条件を現在の学校で変えられるかも、比較すべき進路上の条件となる。
出典:Frontiers in Psychology「English teachers’ social-emotional competence and occupational burnout」

