中国の高校生1,592人を対象とした研究で、親の進路への関わり方と、子どもの「進路を決めにくい」という感覚との関係が調べられた。研究は2026年7月1日、『The Career Development Quarterly』に掲載された。
研究が分けて捉えたのは、親の関わりを一括りにした「関与」ではなく、「支援」「干渉」「関与不足」の3つである。
結果では、親からの支援が高いほど、子どもの進路意思決定の困難さは低い傾向にあった。一方で、親の干渉が強い場合と、逆に親がほとんど関わらない場合には、進路意思決定の困難さが高い傾向が確認された。
つまり、「親が関わるほどよい」「関わらないほど自立する」という単純な構図ではない。
研究ではさらに、進路意思決定自己効力感との関係も分析した。
これは、自分で必要な情報を集め、選択肢を比べ、進路を決められるという感覚を指す。
親の支援は、この自己効力感を高めることを通じて、進路意思決定の困難さを一部低下させていた。
一方で、親の干渉や関与不足については、同じ仕組みでは説明されなかった。
この違いは、家庭で進路を考える際の役割分担を見るうえで重要となる。
親が進学先を調べる。資料を集める。費用や通学条件を整理する。本人が気付いていない選択肢を示す。
こうした関わりは「支援」になり得る。
しかし、親の希望する学校や職業を前提に話を進める、本人が迷っている段階で結論を出す、比較や判断まで代わりに引き受けるといった関わりは、同じ「親が手伝っている」状態でも性質が異なる。
反対に、「本人の進路だから」とすべてを任せ、情報収集や相談にほとんど関わらないことも、必ずしも自立支援にはならない。
今回の研究は、親の関わりには「多い・少ない」だけではなく、「どう関わるか」という違いがあることを示している。
また、研究ではレジリエンスの高さによって親の支援との関係が変化することも確認された。レジリエンスが高い生徒ほど、親の支援と進路意思決定自己効力感との正の関係が強かった。一方、レジリエンスが高い場合には、親の関与不足が自己効力感に与える負の影響も明確になった。
「この子なら自分でできる」と親が考えた結果、必要な支援まで減らしてしまうことには注意が必要となる。
教育や進路について、親が何をするのか。
それと同時に、何を本人に考えさせ、何を本人に決めてもらうのか。
今回の研究は、過干渉か放任かという二択ではなく、「支えながら主導権を本人に渡す」という親子の役割分担を考える材料となる。
出典
Su, C. et al. “The Relationship Between Career-Specific Parental Behaviors and Career Decision-Making Difficulties Among Chinese High School Students: The Role of Self-Efficacy and Resilience”
The Career Development Quarterly, 2026年7月1日

