都道府県の実態調査で見えた「18歳の壁」
2025.8.28 | 国内
こども家庭庁は2025年8月28日、都道府県・政令市を対象に実施した「18歳以降の若者支援に関する実態調査」の結果を公表した。
不登校やひきこもりなど、何らかの困難を抱える若者の多くが、18歳到達を機に子ども・教育分野の支援から外れ、本人や家族が「どこに相談してよいかわからない」状態に陥る実態が改めて明らかになった。同時に、国や自治体による新たな若者支援制度の拡充・創設の動きも加速している。
18歳で支援が切れる――自治体の7割超が「ギャップあり」と回答
調査は、47都道府県および20政令市の計67自治体を対象に実施され、63自治体から回答を得た(回収率94.0%)。
主な結果は以下の通りである。
・18歳以降の若者支援に「課題や支援のギャップがある」と回答した自治体は71.4%(45自治体)
・ギャップが生じる主な場面は「高校卒業後」(84.4%)と「18歳到達時」(68.9%)
・18歳以降の専任の相談窓口やコーディネーターを「設置していない」自治体は、都道府県で58.3%、政令市で40.0%
・教育・福祉・労働の連携体制について「不十分」とした自治体は68.3%
表:18歳以降の若者支援に関する自治体の主な状況(複数回答)
| 項目 | 割合 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 課題やギャップがあると回答 | 71.4% | 支援の途切れ、窓口不明、情報不足など |
| ギャップが生じる場面(高校卒業後) | 84.4% | 高校卒業後に相談先が不明になる |
| ギャップが生じる場面(18歳到達時) | 68.9% | 18歳到達で子ども支援が終了 |
| 専任の相談窓口・コーディネーターなし | 都道府県58.3%/政令市40.0% | 18歳以降の相談体制が未整備 |
| 教育・福祉・労働の連携が不十分 | 68.3% | 情報共有やケース会議の不足など |
出典:こども家庭庁「18歳以降の若者支援に関する実態調査」(2025年8月28日公表)
背景:なぜ「18歳の壁」が問題になるのか
日本の公的支援は、18歳未満を「子ども」として教育・福祉が中心となる。だが、高校卒業後や18歳到達と同時に、学校の支援や児童福祉法に基づくサービスの多くが終了する。
一方で、すぐに就職や進学に繋がらない若者にとって、福祉・就労支援の入口は見えにくく、行政の縦割りの間で「支援空白」となる。
新しい動き:若者支援の拡充・制度創設が進む
・こども家庭庁は2025年度から「こども若者支援地域協議会」の設置促進を強化。教育・福祉・労働・医療などの関係機関が、18歳以降のケースを継続的に議論できる場を作る。
・厚生労働省は2025年度「ひきこもり支援ステップアップ事業」を拡充。対象年齢の上限撤廃や、就労体験・居場所・家族支援の一体的実施を支援する(補助上限:1自治体あたり最大3,000万円)。
・一部自治体では、18〜29歳を対象とした「若者相談窓口」や「若者サポートステーション(サポステ)」の機能強化、就労準備支援や職業訓練への接続が進んでいる。
SK進路の対象領域との接点
不登校やひきこもりを経験した若者が、学校や子ども支援から外れた後に、「どこに相談すればよいのか」「どんな選択肢があるのか」を整理し、本人の意思で次の一歩を選べるかどうかが鍵になる。
本調査が示した「18歳の壁」と新しい支援の広がりは、進路を考えるうえで重要な前提情報となる。

