英国政府が、大学などでの学び方を変えようとしている。
これまでは、大学に入って数年間学び、学位を取る形が中心だった。これからは、必要な時に短い講座や科目を学び、それを少しずつ積み上げられる仕組みを広げようとしている。
イングランドでは、新しい学生向けの学費支援制度「Lifelong Learning Entitlement(LLE)」の申請を2026年9月に始める予定だ。対象となるのは、2027年1月以降に始まる一定のコースや科目である。
9月7日時点の政府案内では「9月に開始」となっており、まだ始まったことは確認できない。具体的な開始日も発表されていない。
大きく変わるのは、大学の学位を取るコースだけでなく、認められた短い科目にも学費のローンを使えることだ。
対象には、大学や専門教育の一定の資格、一部の大学院レベルのコース、政府が認めた技術教育の科目、政府が人材を必要としている分野の科目などが含まれる。
短い科目は、原則として30単位以上となる。修了すると、何を学び、どのような成績だったかを示す記録も受け取れる。
ただし、最初からすべての科目が対象になるわけではない。政府は対象を少しずつ広げていく方針だ。
新しく利用する人が借りられる授業料ローンの上限は3万9,160ポンドだ。2026〜27年度の年間上限9,790ポンドの4年分にあたる。
このお金は、一つの大学で全部使う必要はない。複数のコースや短い科目に分けて使うこともできる。1年間にローンを使って学べるのは、合計180単位までだ。
対象となるコースを通学して受講する場合には、生活費のローンも利用できる。条件によっては、障害、子育て、移動にかかる費用への支援もある。
ただし、これはもらえるお金ではない。借りるお金だ。
返済は原則として学び終わった後に始まる。税金を引く前の年収が2万5,000ポンドを超えると、その超えた分の9%を返していく。
授業料ローンを利用するには、受講開始時に60歳未満であることが原則だ。
また、以前に国の学生向けローンを使ったことがある人は、その分だけ新たに借りられる金額が減る。
たとえば、すでに3年間の大学で支援を受けた人の場合、政府の例では残りの利用枠は9,790ポンドとなる。
一方で、医療、教員養成、社会福祉など、政府が特に人材を必要としている分野では、通常の利用枠を使い切った後でも追加で借りられる場合がある。
英国教育省は2026年5月、この短い科目を提供できる最初の大学やカレッジ130校を発表した。
学べる分野には、コンピューター、工学、建築、保健、社会福祉などがある。
ただし、この制度を使った人が実際にどれだけ学び終えられるのか、その後の就職や収入の改善につながるのかは、まだ分からない。制度そのものが始まっていないからだ。
学費を借りられることと、その学びが本人の次の仕事や生活に合っていることは別の問題だ。
長く続けてきた仕事を終えた人や、家族の介護などの役割を終えた人にとって、いきなり数年間の大学へ進むのではなく、まず短い学びから試せることには意味がある。
ただし、大切なのは「何を学ぶか」だけではない。
これからどのような仕事や役割を担いたいのか。そのために本当にこの学びが必要なのか。借りたお金を返してまで学ぶ価値があるのか。学び終えた後の仕事や社会との関わりにどうつながるのか。
そこまで考えて選ぶ必要がある。
なお、LLEはイングランドの制度であり、日本に住んでいる人がそのまま利用できる制度ではない。
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